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その「液体ミルク批判」誰のため? 世界に取り残されている日本の母乳指導

4/15(月) 17:12配信

BuzzFeed Japan

3月5日、グリコより国内初の液体の人工ミルク「アイクレオ」が発売されました。3月下旬には明治からやはり液体ミルク「明治ほほえみ らくらくミルク」も販売が始まりました。

液体ミルクは、従来、国内メーカーより発売され、使われてきた粉ミルクと比べると割高ですが、調乳の手間が省けるため、繰り返し要望されてきました。

しかし、今後、出生数が減って行く中で需要が見込めないこともあり、国内メーカーは液体ミルクの生産に消極的でした。そんな中、災害時に備えた備蓄という大義名分も手伝って、承認・販売されることとなったのです。

ただ、発売以降、様々な批判がネット上などにあふれ、さっそく議論になっています。その批判は赤ちゃんや赤ちゃんを育てる両親のためになるのか、考えてみたいと思います。
【寄稿:宋美玄・産婦人科医 / BuzzFeed Japan Medical】

やはり出てきた「楽をするな」「母乳が最良」の声

個人的な話となりますが、私は二人の子供を混合栄養で育てたため、子供が必要とした時にお湯を沸かして調乳し冷ますという手間のない液体ミルクがあればなあと思っていたので、国内メーカーが販売に踏み切ってくれたニュースにとても好感を持ちました。

子育て層からは液体ミルクを歓迎する声が上がる一方、パッケージに書かれている「母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養」(消費者庁の定めた許可基準によって液体ミルクや粉ミルクなどの人工乳に表示が義務付けられているもの)という文言に傷つけられるという声にも多くの共感が集まりました。

インターネット上では子育て層の喜びの声とは対照的に、授乳の当事者でない層から「そこまで楽する必要があるのか」「粉ミルクを溶かす手間をかけることで親としての自覚が生まれる」など、育児にかかる手間を省くことに消極的な意見が多数見られました。

これには、「本来は日常の育児を少しでも楽にするための液体ミルクだけれど、災害対応という言い訳がなければとても世間に理解されなかったのではないか」と感じざるを得ませんでした。

また、母乳育児を強く推進する層(主に医療従事者)からは液体ミルクの登場により「安易に」人工栄養や混合栄養を選ぶ親が出てこないか危惧する意見が見られました。

しかし、WHOやユニセフによる母乳育児を推進するBFH(Baby Friendly Hospital 赤ちゃんに優しい病院)の認定を持つ産院ですら、完全母乳率は約9割とされ(公表はしていなかったと思います)、人工乳の存在で命や健康が守られている赤ちゃんがいることは明らかです。

小さな赤ちゃんの育児をする人たちは、母乳と人工乳をどのように用いるのがいいのでしょうか。

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最終更新:4/15(月) 19:12
BuzzFeed Japan

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