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新紙幣・コンビニ騒ぎにみえる日本の後進性

4/15(月) 14:00配信

ニュースソクラ

【中国ウォッチ(13)】中国がキャッシュレスとコンビニ無人化で断然、先行

 4月12日と13日、日本が初めて議長国となって、G20(主要国・地域)の財務相・中央銀行総裁会議が、ワシントンで開かれている。米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱問題など、懸案事項が山積する中、G20は非常に重要な役割を迎えている。議長役を担う麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁が、G20の新たな方向性を示していけるのか、その手腕が注目されている――。

 と、ここまでは、日本の大手メディアの報道の受け売りである。

 実際には、G20財務相・中央銀行総裁会議のサークルで、日本について、あることが話題を呼んでいる。それは、「日本は新たな紙幣を刷るんだって?」ということだ。

 麻生財務相は、4月9日に記者会見を開いて、日本円の紙幣のデザインを、いまから5年後の2024年度上期に刷新すると発表した。新1万円札は、東京証券取引所を始めとする多数の会社の起業を行い、「日本資本主義の父」と言われる渋沢栄一氏を肖像画として採用する。同じく新5000円札は、女性初のアメリカへの留学生で津田塾大学創始者の津田梅子氏。新1000円札は、「日本近代医学の父」と呼ばれる北里柴三郎氏を起用することになった。

 麻生財務相は会見で、「新紙幣の図柄は新元号の時代に、日本の伝統、美しい自然、文化を表していると考えている」と胸を張った。

 この電撃会見以降、日本のニュースで、この3人の経歴やゆかりの地などが大々的に紹介され、ホットな話題になっているのは、周知の通りだ。

 だが、G20の会場で持ち上がっているのは、日本を賞賛する声ではなくて、逆に日本の行動を疑問視する声なのだ。

 「いまから5年後には、5Gや第4次産業革命によって、世界中がスマホ決済や仮想通貨、ブロックチェーン送金といった『非現金』の時代に変わっているだろう。それなのに、2024年に向けて新紙幣を発行するなんて、日本はいったい何を考えているのか? そのような旧態依然とした国が、世界経済を新たな方向へ導いていくことなどできるのか?」

 これが、いまワシントンで、世界が日本に抱いている疑問符「?」なのである。まさに、日本の常識は世界の非常識となっている。

 ちなみに、4月1日に新元号が発表されて以降、日本は「令和」ブームに沸いているが、当然ながら世界は、「平成」とも「令和」ともまったく異なるところで動いている。

 5月1日は、世界的にはメーデーを祝うのであって、「令和」のスタートを祝うのではない。「Reiwa」は国際的な用語にはなりえないのであって、あくまでも日本国内限定のものだ。「そんなこと分かっているよ」という反駁があるかもしれないが、何となく「日本=世界」のように考えている日本人も多いのではないか。

 そもそも「令和」という言葉も、安倍晋三首相は「日本固有の万葉集からの出典」を強調しておられたが、先週のこのコラムで示したように、おおもとの出典は中国だ。具体的には、中国の東漢時代の著名な文学者である張衡(西暦78年~139年)の『帰田賦』から、万葉集が「借用」したわけである。

 日本はまた、4月1日から入国管理法を改正し、最大で34万人の外国人労働者の受け入れを始めた。少子高齢化に伴う深刻な人手不足を補う措置である。 

 そうした人手不足の典型例として最近、話題になっているのが、コンビニの24時間営業問題である。

 2月に東大阪市のセブン-イレブン南上小阪店が、深夜の人手不足を理由に、24時間営業を止め、朝6時から深夜1時までの19時間営業に切り替えた。するとセブン-イレブン本社は、加盟店の契約違反だとして、契約解除と1700万円もの違約金を要求したという問題だ。

 この「東大阪の乱」がきっかけとなって、セブン-イレブン本社を非難する世論が沸騰。4月8日には、セブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長が交代を発表する事態に発展した。そしてセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手コンビニ3社は、時短への道を模索し始めた。

 だが、この問題も、例えば中国人の目には、奇異に映って仕方がない。今週来日した、中国のコンビニにも製品を卸している広東省大手の小型電気機器メーカー社長は、私にこう述べた。

 「中国のコンビニでは現在、急速に店舗の無人化が進んでいる。店に入った客は、自分で買いたい商品のQRコードにスマホを当てるなどすれば、それで決済成立だ。

 その発展形として、店内の防犯カメラが客を顔認証して、いちいちスマホ決済さえしなくても、客がそのまま商品を自分のカバンなどに入れれば、それで決済おしまいというシステムの導入が、まもなく始まる。一部店舗で試験したところ、まったく問題ないという結果を得たからだ。

 つまり、日本もこうしたシステムを導入すれば、24時間営業していようが、人手不足問題など起こらないのだ。いまだにスマホ決済さえ普及していない日本の小売業は、中国に較べて、10年くらい遅れているように見える」

 ここでもまた、日本の常識が世界の非常識となっている。

 日本は現在、今秋のラグビー・ワールドカップや、来夏の東京オリンピック・パラリンピックへ向けて、改めて国際化への気運が高まっている。安倍首相は、来年までに年間4000万人の外国人観光客を誘致する目標を掲げている。

 そこで「日本式おもてなし」を披露するのも大事だろうが、そのためにも「世界の常識」を、もう少し知ったほうがよいのではないか。それはすなわち、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(日本が世界一)という「過去の幻想」に囚われないということでもある。

■右田 早希(ジャーナリスト)
25年以上にわたって中国・朝鮮半島を取材し、中国・韓国の政官財に知己多い。中国・東アジアの政治・経済・外交に精通。著書に『AIIB不参加の代償』(ベスト新書、2015年)

最終更新:4/15(月) 14:00
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