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(朝鮮日報日本語版) 米朝双方から圧力、追い込まれた自称「仲裁者」文在寅大統領

4/15(月) 10:30配信

朝鮮日報日本語版

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこれまで「仲裁者、促進者」を自認してきたが、今回の韓米首脳会談が「ノーディール」で終わり、また北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)からも「差し出がましく『仲裁者』や『促進者』のように行動するな」と露骨に指摘された影響で、非常に困難な状況に追い込まれている。

 文大統領は当初、今回の韓米首脳会談と次の南北首脳会談を通じて3回目の米朝首脳会談に向けた雰囲気を高めようとしていた。ところが米国からは「韓米同盟の側に立て」と言われ、北朝鮮からは「わが民族同士」を口実に北朝鮮の側に立つよう求められたことで、結局は板挟みとなり動きが取れなくなってしまった。文大統領は15日、金正恩氏の演説と韓米首脳会談、さらに4回目の南北首脳会談について自らの考えを表明する計画だったが、米朝双方から仲裁者役を拒否され、どちらの側を選ぶか選択を迫られてしまった。

 韓国大統領府は金正恩氏の演説について14日は沈黙を守った。金正恩氏は3回目の米朝首脳会談について、米国の態度が変わることを前提に「もう一度応じる用意はある」として対話の扉はオープンとの考えを示した。これは南北米による首脳会談を相次いで開催するという韓国大統領府の構想と一部通じるところもありそうだ。しかし文在寅政権は金正恩氏から「仲裁者や促進者のように行動するな」「民族の利益を擁護する当事者になれ」と注文され、米国ではなく自分たちの側に立つよう露骨に要求された。韓国大統領府がこの日沈黙を守った理由も、金正恩氏による韓国への批判が予想以上に厳しかったからだ。北朝鮮は文在寅政権に対し「事大根性」「外勢依存」などの厳しい言葉でその姿勢を批判した。

 これに韓国大統領府は大きな衝撃を受けたようだ。大統領府の関係者も「現時点では金正恩氏の演説について言うべきことはない」「文大統領が15日にその考えを明らかにするだろう」とコメントするにとどめた。文大統領は15日に大統領府で予定されている首席・補佐官会議でも金正恩氏の演説への具体的な言及は控え「南北関係改善を通じて米朝対話再開のモメンタム(動力)を維持する」との原則的な考えの表明にとどめるという。大統領府はこれまで「韓国は米国と北朝鮮の双方から信頼を得ている」と自画自賛してきたが、外交に詳しい識者の間では「今回の韓米首脳会談と金正恩氏の演説でこの信頼も大きく崩れた」との見方が広がっている。

 ところが大統領府のある幹部は韓米首脳会談について「うまくいった」と自画自賛した。金正恩氏もトランプ大統領も3回目の米朝首脳会談に前向きな態度を示したため、仲裁者としての役割に一層力を入れたいと考えているようだ。具体的にはまず南北首脳会談の実現に向け、今週中に北朝鮮に特使を派遣する方向で手続きを進めることにした。特使としては大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長と徐薫(ソ・フン)国家情報院長の名前が上がっている。鄭室長は16日から予定されている文大統領の中央アジア3カ国歴訪に同行しないという。

 しかし南北首脳会談の実現までに乗り越えるべきハードルは幾つもある。まず北朝鮮が4回目となる次の南北首脳会談に応じるか現時点では分からない。北朝鮮は韓国が3回目の米朝首脳会談に向け仲裁者、促進者を自認することについて「民族の側に立て」として事実上拒否している。韓国政府は北朝鮮の非核化と米国の制裁解除を段階的に進める「グッド・イナフ・ディール(十分に良好な取引)」という概念を仲裁案として提示した。しかし米国は「ビッグディール(一括妥結方式)」を譲らず、北朝鮮も制裁解除にこだわらない考えを明確にしたため、韓国政府の仲裁案は北朝鮮と米国の双方から拒否される形となった。そのため南北首脳会談で文大統領と金正恩氏が顔を合わせたとしても、文大統領としては金正恩氏を3回目の米朝首脳会談に応じさせる見返りを提供できない。南北関係改善を口実に開城工業団地や金剛山観光の再開など制裁に反する経済協力に乗り出した場合、韓米同盟が危機的状況となるだけでなく、韓国が国際社会から孤立してしまうからだ。

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