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東京マルイオリジナル! ドットサイト対応モデル「ハイキャパ D.O.R」インタビュー

4/16(火) 0:00配信

Impress Watch

 4月19日に発売の東京マルイの新製品「ハイキャパ D.O.R」について、東京マルイの広報担当・島村優氏に商品の特徴と魅力を語ってもらった。

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 「ハイキャパ D.O.R」とは、「M1911」をベースとしたカスタマイズモデルである。ハイキャパは「ハイキャパシティ(大容量)」の略で、多弾数マガジン装備型を意味する。“D.O.R”は、Direct Optics Ready、別売のオープンタイプドットサイト「マイクロプロサイト」の搭載を可能としたモデルという意味である。

 東京マルイのハイキャパシリーズは14年以上も継続販売されながら非常に高い人気を維持している。今回の「ハイキャパ D.O.R」はシリーズ最新作であり、最新オプションであるマイクロプロサイトに完全対応を謳った商品というわけだ。

 今回のインタビューでは、そもそもハイキャパとはどういう魅力を備えたものなのか、「ハイキャパ D.O.R」はどう生まれ変わったのか? こういったポイントを語ってもらった。

■.45弾を多数収納できる大型のマガジンが余裕あるガス容量を実現、安定した作動性能を発揮したハイキャパシリーズ

 今回取り上げるのは新製品のガスブローバック「ハイキャパ D.O.R」。まずはこの“ハイキャパ”というガスガンの概要をじっくり聞いてみた。

 ベースとなっているのはM1911、通称「コルト・ガバメント」。1911年から1985年までの長期にわたりアメリカ軍の制式拳銃として正式採用されていた。アメリカを代表する傑作拳銃だ。M1911は、直径0.45インチ(約11㎜)の「.45ACP弾」という大型弾薬(カートリッジ・実包)を使用し、強力なストッピングパワーを発揮する。

 大型弾薬によて生じる激しいリコイル(反動)を減衰させるショートリコイル機構による比較的良好なコントロール性、汚れに強く、過酷な環境下でも作動する信頼性・強靭な耐久性、シンプルな構造ゆえの良好なメンテナンス性などを備え、軍・民間を問わず評価の高い優秀なセミオートマチックピストルだった。

 しかし、時代の流れと共に重量や大型弾薬ゆえの少ない装弾数などの短所が目立つようになり、ついに制式拳銃の座は「ベレッタ M9(M92F)」へ交代した。現在は、更にその後継機種「SIG SAUER M17(M320)」等に移行中だ。

これらは、現代の軍・警察用弾薬では世界的主流となっている「9x19mm NATO弾(9mmルガー弾/9mmパラベラム弾)」と、M1911が使用する大型弾薬に比べ、直径約9㎜の1回り小さなものを使用する。

 9mm弾は若干威力不足との評価があるものの、反動がマイルドで速射が容易、コンパクトな弾薬なのでマガジン内に数多く装填可能であり、それを収めるグリップ部もコンパクトで握りやすさを追求した設計が可能といった多くのメリットがある。9mm弾は、NATO規格弾であり大変普及率が高く融通しやすいところも見逃せない点だ。

 だが、M1911の.45ACP弾が発揮する、9mm弾を大きく凌駕するストッピングパワーにはやはり魅力がある。特に、装備をある程度自由に選び自分好みにカスタムメイドを行なう特殊部隊は、M1911やその派生モデルをベースに選択するケースが多いとの事だ。また、軍の制式採用の座からは退いたとはいえ民間市場では高い需要があるため、複数のメーカーによる多種多様なバリエーション展開やユーザーによるカスタムメイドが盛んに行なわれた。そして遂には装弾数の弱点を一気に解消する「ハイキャパシティモデル」が現われたのである。

 M1911タイプの場合、幅が狭く弾薬を縦1列に直列に収納する事しか出来ない“シングルカラム(単列式)”と呼ばれる方式のマガジンを採用しているため、装弾数はマガジン内に7発(+銃本体の薬室内にもう1発)と少ない。もちろんマガジンを伸ばせば装弾数を増やすのは可能だが、銃本体のグリップ底部からどんどんはみ出てくるために取り回しや携帯性などの面で扱い辛くなるという問題があり、大幅な増加が望めない。

 そこで、弾薬をジグザグに左右交互に並べることで縦2列に収納することができる“ダブルカラム(複列式)”という方式のマガジンの採用となった。だが、こちらにも別の問題がある。ダブルカラムは、小柄な9mm弾との組み合わせでは普及している方式だ。しかし大柄な.45ACP弾にこれを適用した場合、大型化したマガジンを収納する銃本体グリップ部の幅までがワイド化して、まともに握れない銃になってしまうのだ。

 そのため、フレーム側で強度が必要なシャーシ部は金属製のまま残しつつ、グリップ部をポリマー製薄肉成形品とするなど大胆な構造変更や新材料の導入を行ない、握り具合を大幅に改良したモデルが生み出された。この実銃が、東京マルイ製ハイキャパシリーズのベースとなった。

 「実は“ハイキャパという名前を持つ実銃”というものは存在しません。このハイキャパとはハイキャパシティ(大容量)の略でつまり “多弾数マガジン仕様”を意味していますが、これを弊社ではそのまま商品名として採用しました。また外観についても、同形状の実銃が存在しない弊社オリジナルデザインのモデル、いわゆる架空銃ということになります。もちろん、全くの非現実的なものというわけではなく、ちゃんと実銃の世界でも再現可能なように検討しながら、色々な銃の良い部分や東京マルイ独自のデザイン要素を組合わせた、“良いとこ取り”の商品だったのです。」と島村氏は語った。

 ハイキャパの名の通り、最大の特徴はやはりマガジンのサイズにある。多くのガス銃のマガジンは、前部が“BB弾収納室”で後部は“ガスタンク”という構造になっている。ガス銃のマガジンの場合、実はダブル/シングルカラム型での装弾数自体の差が実銃ほど大きくない。BB弾が球径6㎜と.45ACP弾よりも遥かに小さいので、幅の狭い実銃のシングルカラムマガジンの外形であってもジグザグのダブルカラム状態にして収納できるためだ。

 しかし一方で、ガス収納部の方では大きな差が生じる。ガスの量が増えても圧力は同等なので、タンク部の壁の厚みもシングルカラム型と同等で問題無く、よってマガジン外形を広げた分がほぼそのままガスタンク容積の拡大となるのだ。そのため、比較するとシングルカラム型に対して外形幅はおよそ1.7倍だが、ガスタンク容積では2.2倍ほどにもなるという。

この余裕あるタンクから供給される安定したガス圧により、高い作動安定性を備えて2004年7月に発売された第1弾の「ハイキャパ5.1ガバメントモデル」は、元々命中精度やメカニズムの作動信頼性で高い評価を受けていた東京マルイが放つ待望のM1911系ガスブローバックモデルということもあり、たちまち大ヒット商品となった。

 その後はこの「ハイキャパ5.1ガバメントモデル」を基本形として、スライド・バレル長等を短縮し、携帯性を向上させた「4.3」。実銃の世界で行なわれている“黒色にコーティングした後に側面のみを磨き、わざと銀色の生地を露出させる”という凝った外観を持つモデルを再現した「デュアルステンレスモデル」。凄まじい連射速度による近接戦での制圧力を重視し、作動を完全にフルオートのみに限定した「エクストリーム」。スライドの軽量化により作動性を追求し、随所に金色のパーツを組込んでドレスアップを施した「ゴールドマッチモデル」などなど様々なバリエーションを生み出している。

 「実銃のカスタムモデルとして、こういった方向性もアリなのではないか?」という、東京マルイ側からの“提案”ともいえるオリジナルモデル達なのだ。以上のようにハイキャパは架空銃であるものの、シリーズ全般に渡って高い人気を維持し続けている。また、第1弾のハイキャパ5.1以降、「スピードシューティング」という設置された全てのターゲットを撃って速さや正確さなどを競い合うジャンルのプレーヤー達にも使用されるようになっていった。この現象は、それまでの東京マルイ製の商品にはあまり見受けられなかったとのことだ。

 なお、M1911ベースでダブルカラムマガジンを採用している実銃は、東京マルイがハイキャパシリーズを発売するよりずっと前から存在している。また、ガスガンとしてもダブルカラムマガジン装着型の商品がすでに他社からも発売されており、マルイはかなり後発だったとのこと。

 また、東京マルイはダブルカラムモデルの「ハイキャパ5.1」を開発してから、約2年後にシングルカラムの「M1911A1ミリタリーガバメント」を発売するといういわば“逆パターン”での商品展開となった。しかし、基本性能は最新機種と遜色なく、ハイキャパシリーズは現在でも高い人気を誇っている。M1911そのものの人気ももちろんだが、ハイキャパシリーズが提示したオリジナリティがファンに高く評価されたと言えるだろう。

■マイクロプロサイトの搭載を前提とした改修、速射性、安定性を重視したカスタマイズ

 いよいよ本題の「ハイキャパ D.O.R」を紹介していこう。前述したとおり、“D.O.R”はDirect Optics Readyの略で、別売のマイクロプロサイトの搭載機能が追加されたことが最大の特徴だ。他の部分にも、発売からの14年間で蓄積されたノウハウが注ぎ込まれ、アップデートが施されているという。

 マイクロプロサイトはスライド後部に取り付ける光学式の照準器で、四角いレンズを覗き込む事でレンズに反射投影したLEDの赤いポイントを見ることができる。このポイントは着弾地点を示す。つまりレンズをのぞき込み、赤の光点を狙った場所に合わせ、引き金を引けば良い。

 このマイクロプロサイトは非常に人気で、2017年11月発売以降品薄の状態が続いていたが、生産体制の強化によりようやく解消しつつあるとのことだ。このマイクロプロサイトは従来のハイキャパシリーズには取り付けることができないため、設計を見直し人気のハイキャパに搭載可能にしたのが「ハイキャパ D.O.R」なのだと島村氏は語った。

 ただ単にマイクロプロサイトをスライドに載せるだけなら簡単だが、それではサイティング(照準)や耐久性の面で少々問題がある。“プロサイト越しの照準線”と“銃身線(弾道)”との間隔が広いと、射撃距離の変化により照準点と弾着点にズレが生じるため、これをなるべく詰める必要がある。

 この場合、スライド後部上面を削り込んで搭載位置を下げる必要があるのだが、この部分にはシリンダーというリコイルショックを発生させるブローバックエンジンの“肝”となる重要部品(給弾・弾速・命中精度・ガス消費量などにも大きく関与している)が収納されている。

 このシリンダーの内容積は、リコイルショックの強弱に直接影響する。そのため、従来モデルは銃の内部空間一杯のボア(内径)とストローク(行程)に設計され、最大限リコイルを得られるように作り込まれているのだが、マイクロプロサイト搭載位置を下げるには、逆にこのボアを縮小しなければならない。また、この上部に設置されるマイクロプロサイト固定用ネジ穴も、リコイルショックで緩まずに耐えられる深さを確保する必要がある。激しいリコイルショックと低いマウントは、トレードオフの関係となっているのだ。
 試作段階では、上面をカットしたD型のシリンダーとの組み合わせでより低くマウントできるタイプなど様々なタイプをテストしてみたものの、充分なリコイルショックや耐久性能が得られず採用を見送ったという。

 そこで、ブローバックエンジンの中のシリンダー側は従来のハイキャパ用を流用してボアとストロークを維持しつつ、ピストン側のみを新規製作。スライドとの結合用ネジを別の場所に移設してスペースを確保し、そこにリアサイト及びマイクロプロサイト用の3つのネジ穴を設置する事とした。

 従来のハイキャパシリーズの使用状況からスピードシューティング等で酷使される事が想定される為、他の機種よりも取り付けネジの緩みに対する耐久性が必要な事もあり、有効長を唯一10㎜以上確保できるこの位置に決定した。

 更に、ピストン側を新規製作するチャンスを生かし、M1911シリーズの最新作でリコイルショックを強化した「M45A1」という別系統のブローバックエンジンを搭載したモデルのパーツを可能な限り流用してアップデートする事となった。

 この中で、ストロークが約5㎜も延長されリコイルショック強化の主軸となっているロングタイプのシリンダーは、前述のネジ穴が設置出来ないため残念ながら流用されていないのだが、摺動摩擦抵抗を減らす効果の高いピストンローラーや気密性を向上させたピストンカップを投入し、ブローバックエンジンの高効率化を実現している。

 こうした工夫は実銃には無い。法律で許されたガス圧をできるだけ効率良く使い、あたかも実銃を撃ったような感触をユーザーに与える、“玩具としての完成度”にこだわる東京マルイならではの工夫だと島村氏は語った。

 ハンマー上部は上にドットサイトが乗ることを前提としているので、スライドの上に出ないような形になっている。それでもきちんと親指を掛けて引っ張れるような形にしている。またスライド部分は通常のスリット(溝)の他に後方にスライドプルサポートリブが造形してあり、マイクロプロサイトを乗せた場合、マイクロプロサイトそのものを触らずにスライドを引くことができる工夫がされている。

 スライド全体の形は丸みを帯びた物になっているが、これは「東京マルイの中で様々な意見があった」とのこと。M1911は角の立ったデザインも人気が高い。今風だと丸さがある。どのような感じにするかかなり議論して、他のモデルとの差別化を考えて現在の形にしたとのことだ。

 トリガー(引き金)の形も特徴的だ。こちらは近接戦(CQR)にカスタムしたM1911、「ストライクウォーリア」に使われたトリガーと同じ形状になっている。通常のトリガーは湾曲しているが、こちらは直線になっており、トリガーを引いたときにまっすぐ引ける。

 丸みを帯びた指が平面のトリガーを引くことで、指の腹の最初に接触した1点から徐々に指が平らに変形して広がっていく感覚により、どの位トリガーを圧迫しているかがわかり易い。このため、トリガーコントロールし易く高精度で撃てるようになる。さらにトリガーの中央にくぼみを設けているため、射手は自分の指がトリガーの中央を引いているように意識できるものとなっている。

 「射撃のプロから教わったとき、トリガーをまっすぐ引いて、ゆっくり戻す。そうすることで次弾では的を外さなかった。トリガーがストレートなので、銃の角度もわかりやすい。『ハイキャパ D.O.R』はそういう射撃に特化した製品を目指しています」と島村氏は語った。

 ちなみに本商品のトリガーデザインは「ストライクウォーリア」と同じだが、パーツそのものは、「ハイキャパ D.O.R」様に新造したもの。「ストライクウォーリア」のトリガーは亜鉛ダイカスト(ZDC)製だったが、「ハイキャパ D.O.R」のものはプラスチックで、わざわざ作り直している。“軽さ”を重視し、トリガーを引き終わり指を戻すときの追従性が上がっている。「ハイキャパ D.O.R」は射撃スピードや精度を競うシューティング競技のユーザーも意識しており、まっすぐ引けて、追従性を重視することでより精度の高い連射をするためのアイディアとのことだ。

 もう1つ、「ハイキャパ D.O.R」の玩具としてのこだわりが「スライドストップレバー」だ。弾を撃ち尽くしたとき、スライドを後退した状態で固定するためのパーツだ。実銃では銃の外側についているストッパーが、スライドの外側の切り欠きに引っかかって固定されるのだが、商品でこの機構をそのまま再現するとスライドに傷がついてしまう。銃をスライドさせるだけでもこの部分はこすってしまうので、新品の商品でも、品質チェックのテストなどでこの切り欠き部分が削れてしまうことがあった。

 東京マルイでは、「M1911A1ミリタリーガバメント」を開発する時、スライドの内側に切り欠きが造形されている金属製のプレートを増設し、そこにスライドストップレバーの内側の爪を引っかけて止める機構を生み出した。この機構は従来のハイキャパシリーズには現在でも搭載されていないもので、「ゴールドマッチ」から盛り込むことができた機能だ。もちろん、この機能もガスガンという玩具ならではのこだわりの部分であり、このように様々な部分がアップグレードされているのだ。

■ユーザーの好みに合わせた2種類の搭載方法、しっかりとした搭載を可能とする改修

 いよいよ「ハイキャパ D.O.R」にマイクロプロサイトをつけていく。「ハイキャパ D.O.R」の場合は、「ハイマウントベースをはさんでの搭載」と、「そのまま搭載」の2種類のマウント方法が選択できる。ベースをつけての搭載では、マイクロプロサイトがちょっと浮き上がったようになってしまうが、こちらのメリットは“バックアップ用サイトが使える”ところにある。

 通常時に使用するフロントとリアのオープンサイトの照準線よりも、スライドに搭載した状態のマイクロプロサイトの照準線はかなり高い位置にある。このため、搭載時にスライドに残っているフロントサイトはサイティングに使用できない(仮にマイクロプロサイト越しに見えるフロントサイトにドットを合わせた場合、実際は銃身線がかなり上を向いた状態になっている。撃つと意図した狙点よりもかなり上方向に弾が飛ぶことになり大変危険である)。

 従って搭載時のサイティングは点灯しているドットのみで行なうわけだが、万が一マイクロプロサイトの故障やバッテリー切れ等のトラブルが発生すると、正確な射撃が続行できない事態に陥ってしまう。そこで、バックアップ用としてハイマウントベース自体にも簡易的なフロントとリアのオープンサイトを造形し、緊急時にマイクロプロサイト越しにサイティングできるようにしている。

 そして、もう片方のマウントベースを挟まない取り付け方法ではバックアップサイトこそ備わらないものの、スライド内で激しく前後動するシリンダーに干渉するギリギリ手前という究極的に低い位置にマイクロプロサイトを搭載できる。こちらの方が照準線を2㎜ほど銃身線に近付けられて、より誤差の少ない自然な射撃が可能となる。どちらも一長一短あり、好みやシチュエーションに応じて使いわけられるよう設計されている。

 取り付けはまず「ハイキャパ D.O.R」側のリアサイトをネジを緩めて外してブリーチ部分を露出させ、ネジ穴の所にマイクロプロサイトのネジを合わせて取り付ける。「ハイキャパ D.O.R」の場合、このネジだけでなく、前方のツメでもしっかりと銃本体に固定されている。ブリーチにはこのツメが引っかかるくぼみが用意されており、マイクロプロサイトの底面の電池蓋を外し、ツメのあるものに交換することで、このくぼみにツメを差し込んで固定できる。

 ツメはプレートにも用意されており、こちらでも同様にくぼみと合わせることで、マイクロプロサイトの前後がしっかりと銃本体に固定される。このしっかりとした搭載方法が、ブローバックの時に激しく動くスライドとマイクロプロサイトをしっかり繋ぎ止める。

 使用するネジの長さも各々きちんと最適化されており、直付けの方が短い。2種類のネジは間違わないようにネジの色も変えている。こういう細かい気配りが東京マルイならではなのだと島村氏は語った。

 実際マイクロプロサイトをつけた形で銃を構えてみた。筆者自身は余りエアガンを撃った経験がなかったのだが、マイクロプロサイトを使うとかなり銃口を下にしている感覚があった。逆にこれが弾の当たる角度なのかとちょっと驚いた。マイクロプロサイトを使うことで改めて銃をどう構えれば弾が的に当たるかわかると感じた。

 LEDの光点はとてもはっきりしており、ちょっとでも銃と目の位置が不安定だと光点が見えなくなる。光点をはっきりと見て、対象に向けて引き金を引くことできちんと当たる。筆者のような銃初心者にとってもかなり当てやすくなるだろうという印象を持った。

 マイクロプロサイトそのものの特徴は、全体がABSで軽いことがまず第一に上げられる。スライドと共に動くため軽さは重要なファクターだ。そして最大のポイントと言えるのがレンズがポリカーボネート製であること。ガラスよりも遙かに耐衝撃性が高い素材で、BB弾がレンズ部分に直接当たっても割れにくい。弾の飛び交うサバイバルゲームでこの耐久性は大きな魅力だ。

 LEDは本体の後部にあり、そこから凹面型のハーフミラーに反射させて光点を浮き出させている。ポリカーボネートを使いながら、歪みの少ない高精度の曲面形状を実現させるその技術は東京マルイならではだと島村氏は語った。6,800円(税別)という価格と耐久性、そして軽さと精度が本商品のウリであり、多くのユーザーに支持されているとのことだ。

 マイクロプロサイトを装着している時は、ハイ・ローどちらの場合でもスライド先端にある通常時用のフロントサイトの方は前述の通りサイティングに使用しない。マイクロプロサイトを装着しての着弾点合わせは、1.実射して弾道を直接目視確認し、可変HOPの調整を先に完了させる。2.更に実射しながら、マイクロプロサイトのドット位置を着弾点に合わせる。という順で行なうのが基本だ。

 以前のドットサイトは、スコープのように非常に大きく重いものだった。技術の進歩に従い飛躍的に小型・軽量化されていき、ついにハンドガンのスライドにも直付けできる耐久性を備えるものまで現われた。マイクロプロサイトは、このような現代のドットサイトの進化を取り入れ、東京マルイの技術でさらに軽量化し独自開発したものだ。、そして、このマイクロプロサイト搭載を前提としたハイキャパシリーズの最新作が、「ハイキャパ D.O.R」というわけだ。

■維持が難しい“MADE IN JAPAN”にこだわる東京マルイならではのモノ作り

 エアガンの世界にも人知れず苦労がある。ここからは東京マルイのモノ作りをより深く島村氏に語ってもらった。銃に本物のようなリアルな重さと感触を与えてくれる“金属”の使用は厳しく制限されている。銃の玩具なだけに、実弾が撃てる可能性がないよう法律で制限されているのだ。

 ハンドガンの場合、実銃のような重さを与えてくれるのは主に亜鉛ダイカスト製のパーツである。しかし世のどの製品も軽量化が当たり前の中で、あえて重くする製品は中々ない。

 時代の流れであり、重い金属・亜鉛ダイカストを扱う工場そのものが少なくなっている。しかも銃は黒染めやクロームメッキ、銀メッキといった金属塗装、メッキ技術が必要となる。特にメッキは後継者問題もあり国内では職人も減り、海外メーカーに生産協力をお願いするメーカーも多い。

 仮に、海外で部品を作り、国内で組み立てをしようにも、輸送の際、運送される部品はそのまま“銃”のパーツに見えるので、税関で非常に時間がかかってしまうし、何かあったときのリカバリーもしにくい。もちろん品質も重要で、東京マルイのアイテム数を考えるとそのコントロールは不可能に近い。東京マルイが“MADE IN JAPAN”にこだわるのは、これらの理由をトータル的に判断しているのだ。さらに「日本の文化」であるエアソフトガンを守るという気持ちも感じさせられる。

 仕事も非常にハードで、しかも職人の技術が必要となる。世代交代の問題や技術の継承は、金属加工・金型技術では特に深刻な問題となっている。しかも東京マルイのように、大数の生産、あるいは商品によって全く違う機構が求められる。今回のようにハイキャパシリーズではあっても、アップデートを重ねたことで様々な部品が違う場合は、その都度新しいパーツが必要となる。そういう細かい要求に応えられる工場は多くないし、新規は開拓にも時間がかかる。と島村氏は語った。

 一方、東京マルイは原則として「カタログ落ちをしない」のが特徴だ。2004年7月に発売された「ハイキャパ5.1 ガバメントモデル」が今でも販売当初の値段で発売されている。限定品以外はほとんど絶版がなく、「この時代のこのモデルが、当時の値段で欲しい」というユーザーのニーズに応えている。

 車や家電でも新しい製品が発売されると前の製品は作らなくなる。世のほとんどの品物がこのシステムだが、マルイのエアガンは30年前に発売した「ワルサーP38」をいまだに製造・販売している。そのアイテム数やそれを構成するパーツ数は膨大なものである。これは日本国内生産、繋がりの深い工場との関係が保てているからこそのビジネスモデルだという。

 このビジネスを成立させるため、マガジンは「ハイキャパ5.1 ガバメントモデル」と「ハイキャパ D.O.R」が同じものを使用しているように、できるだけ部品の共有化も行なっている。新たに開発したオプションパーツも過去の製品でできるだけ使用できるように、綿密に検査と検証を行なっているとのことだ。それはユーザーのコレクション、過去の資産をもっと活用して欲しいという東京マルイの考え方でもある。

 「マガジンをたくさん揃えたのに新しいバリエーションモデル銃では使えない、それはお客様にとって失礼じゃないか、そう思うところがあります。ですのでできるだけオプションパーツの対応、互換性の確保はなどはしていきたいと思っています」と島村氏は語った。

 しかしそういった姿勢の中でも変えていく必要が生まれる場合がある。「ハイキャパ D.O.R」は人気の高いハイキャパシリーズでもきちんとマイクロプロサイトを使用できるように最適化したモデルだ。様々なパーツを使ってバリエーション展開する一方で、金型の改修カ所は最小限にするように工夫をする。

 今回はスライド上部にマウントを取り付ける必要があったため、シリンダーの形状に手を入れ、さらに昨今の流行も取り入れたアップデートが行なわれているのである。今後のハイキャパシリーズや、その他の製品のことも見越した改修なのだろうか。

 話を聞いていて何度も「かっこいいなあ」とつぶやいてしまった。やはり銃の持つ独特のカッコ良さ、機能美は各所を見て、そして解説してもらうことで何倍にもふくらむ。自分の手の中で眺め、そして撃ってみたいという気持ちが大きくふくらんだ。マイクロプロサイトでの射撃の感触なども実感したいところだ。

 また玩具としてのこだわり、細部の質感やリコイルショックの感触への追求なども感心させられた。大量生産される工業製品と異なり、玩具はその多様性で生産が難しいし、部品メーカーの努力も非常に必要となる。そういった中で製品を生み出していく姿勢を改めて聞くことで、「ユーザーに満足してもらうエアガンを」という強い思いも感じることができたと思う。今後も様々な話を聞いていきたい。

GAME Watch,勝田哲也

最終更新:4/16(火) 8:37
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