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CAをやめた女性が父の会社で目指す靴下とは  継ぐということ

4/16(火) 16:02配信

47NEWS

 奈良が靴下の生産量日本一の県だということは意外と知られていない。その奈良県で最も狭い町である三宅町に「鈴木靴下」はある。

 「カシャカシャ、プッシュー」。工場には所狭しと並んだ編み機の軽快な音が響く。鈴木和夫・現社長(60)の父が1958年に創業したこの会社は、子供用靴下の製造から始まった。一見、こじんまりした町工場の雰囲気だ。

 実は、大手スポーツメーカーからJリーグチームのソックス生産を委託されるほど技術力に定評がある。そこで後継ぎとして3代目を目指すのが、社長の長女みどりさん(31)だ。

 ▽客室乗務員から新米社員に

 みどりさんは京都の大学を卒業後、2011年に東京の航空会社に入社した。「家を守ってねと周りに言われたが、違う職業や世界も見てみたかった」

 客室乗務員(CA)として3年間、国内外を飛び回った。仕事に打ち込む日々だった。それでも、父が早朝や休日に1人で仕事をしていた姿は脳裏から離れることはなかった。家業の行く末を考えることが少しずつ増え、そのうち「父が苦労して開発している商品を守りたい」という思いが次第に強くなった。

 14年に結婚したこともきっかけとなり退社。三宅町に戻り、鈴木靴下に入社した。

 長年勤務する社員らがいる中、社長の娘とはいえ、新米社員だ。従業員は40人ほどしかおらず、すべてのことをやらざるを得なかった。

 最初は靴下の素材や編み方の知識もなかった。取引先が話す専門用語は理解できず、名刺の渡し方など基本的なビジネスの作法も未熟。あったのは「父を支えたいという気持ちだけ」。気負いが先行した。「会社の裏で、わーっと叫んだこともあります」

 もがきながら、必死の毎日だった。父に同行して取引先と会い、営業のノウハウを盗んだ。商品である靴下への理解を深めるため、県靴下工業協同組合などが実施する認定資格「靴下ソムリエ」も取得した。

 ▽自分に何ができるか考え続けて

 仕事を覚えていくうち、CA時代に身に付けた細かな気遣いは、靴下作りにも生かせると考えた。自分に何ができるかを考え続ける中で、好機は身近な所に転がっていることに気づく。

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最終更新:4/16(火) 16:02
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