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パリの象徴、無残 宗教を超え「再建」協力 ノートルダム大聖堂火災

4/16(火) 22:12配信

毎日新聞

 【パリ賀有勇】フランスのカトリック教会を象徴するパリのノートルダム大聖堂の火災は、夜を徹した消火作業の末、出火から約15時間後に鎮火した。一夜明けた16日、小雨が降るなか、出勤途中の多くの市民が足を止め、慣れ親しんだ大聖堂の変わり果てた姿を見つめた。口々に火災のショックを語る一方で、宗教を超えて再建を望む声が高まっていた。

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 鎮火が宣言される直前の16日朝(日本時間16日夕)、ノートルダム大聖堂が建つ、セーヌ川の中州にあたるシテ島の一部は立ち入り規制が続いていた。大聖堂には消防士らが出入りし、残り火がないかを入念に確認していた。

 毎年、家族でクリスマスと復活祭(イースター)のミサに訪れるパリ近郊に住むパスカル・ベルトゥーさん(69)は、「思い出の場所で今年もイースターを楽しみにしていた。見るのもつらい」と絞り出すように話した。

 フランスは、カトリック教会と結びついた王制が18世紀のフランス革命で倒された歴史を持ち、1905年には政教分離を法で定めた「非宗教的」な国家とされ、カトリック人口や教会のミサに通う信徒は減少している。

 それでも、フランス革命による破壊や2度の世界大戦を耐え抜き、フランスやパリの歴史を刻んできたノートルダム大聖堂は、観光客や市民に親しまれるほか、クリスマスミサは市民の集いの場ともなっている。

 セーヌ川の橋の上から大聖堂を見つめていた、パリで生まれ育った会社員のバンドリー・セバルドさん(30)は、「全壊するのを見たくなくて昨晩は来られなかった」と語った。無神論者だが、これまでに家族で何度も大聖堂を訪れてきたといい、「パリにいることを実感させてくれる大切な場所。一刻も早く再建してほしい」と語った。

 同じく橋の上から大聖堂の様子を見守っていたIT技師のナシム・ガラティさん(30)は、大聖堂の前を通る度に美しいたたずまいに魅了されとりこになったイスラム教徒だ。「宗教は違えど、集いの場や信仰の場を失う苦しみは同じだ。何らかの形で再建に協力したい」と話した。

 マクロン仏大統領は、12歳でカトリックの洗礼を受けてはいるものの、神の存在は肯定も否定もできないと考える「不可知論者」だ。火災が続く15日夜に現場を訪れてカトリック信徒らに寄り添う姿勢を示すとともに、ノートルダム大聖堂を宗派を超えた「全国民の人生の中心にある」ものだと表現した。

最終更新:4/16(火) 23:15
毎日新聞

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