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美しいアルファロメオ 2600スパイダーとの小さな物語

4/16(火) 18:05配信

octane.jp

この美しいアルファロメオ2600スパイダーを見て、なぜか私はデジャヴを感じた。見覚えがあるのは車そのものよりナンバープレートだ。販売しているサウスウッドの説明を読んで理由が分かった。このアルファは、かつてヘンドンのイギリス空軍博物館で毎月開催されていたサザビーズのオークションに出品されたことがあったのだ。

私は1990年代にサザビーズに勤めており、この車が出品された1994年4月11日のオークションを担当していた。このアルファがほしくてたまらなかったことをはっきり覚えている。当時は未レストアのオリジナルコンディションで、走行距離もわずかだった。私の記憶が正しければ(カタログは見つからなかった)、ファクトリー出荷時のままのシルバーで、推定落札価格は1万ポンドにも満たなかったはずだ。それでも私には手が出せなかった。

あれから20年以上が経ち、すべてが明らかになった。この車は現存する2600スパイダーの中でも極めて保存状態がよく、103台製造された右ハンドル車の中では間違いなく走行距離が最も少ない1台なのだ。

1964年に新車でイギリスに輸入され、あるレーシングドライバーが妻へのプレゼントとして購入したと考えられている。しかし、妻は"重すぎる"と感じて運転しなかった。そのためほとんど使われず、売却された1980年にもオドメーターの数字はわずか98マイルだった。

これを購入した人物は1994年まで所有し、前述のサザビーズのオークションに出品。それをラリードライバーのジョン・ロンドーが落札し、15年間使用したのち、アルファのエンスージアストに売却した。この人物は、色褪せてひび割れていた塗装の修復に手をつけ、部分的に分解したが、結局は"未完のプロジェクト"として手放した。

次のオーナーは、質の高い作業で現在の美しいブルーセラ・メタリックに再塗装し、インテリアもタンレザーで直した。しかし、体調不良でやむなくサウスウッドに売却。サウスウッドがレストアを完成させ、エンジンもリビルドしたが、分解してみると摩耗は一切なかったという。走行距離はいまだに2万3000マイルに満たない。世界中のアルファ2600スパイダーの中でも、おそらく最も使用度の少ない至高の1台といえるだろう。

Octane Japan 編集部

最終更新:4/16(火) 18:05
octane.jp

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