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【平成の事件】開かぬ「パンドラの箱」、日米地位協定 横須賀米兵強盗殺人から13年、遺族の痛み

4/16(火) 10:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

「基地・反基地の問題ではない」

 全国の都道府県知事でつくる全国知事会は、地位協定の抜本的見直しを求める提言書を2018年に日米両政府に提出した。米軍人の事件に対しては「具体的かつ実効的な防止策を提示し、継続的に取組みを進める」ことを求めた。

 だが日米地位協定の条文は1960年の締結後、今に至るまで一度も改定されていない。

 「“パンドラの箱”を開けることになってしまうからだ」。事件後、日本政府当局者が明かしていた。規定が多岐にわたる協定を巡って関係各機関が主張を始めたら、収拾がつかなくなる―。「それなら運用改善で対応する方がよい」。元米国務省のケビン・メア氏も断言する。

 しかし、米兵犯罪の被害者でもあるオーストラリア人女性のキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんも、地位協定改定の訴えを曲げない。「在日米軍の兵士による犯罪が、70年以上もなくならない。協定を改定しないのは、こうした犯罪を許容するのと変わらない」

 2002年、横須賀で米兵から暴行された。警察に被害を訴えたが、加害者は起訴されず、民事訴訟の審理中に帰国して除隊した。その後に自力で加害者の所在を突き止め、米国で提訴。加害を認めることと引き換えに、2013年に加害者と和解した。「お金より正義が欲しかった」。賠償額は1ドルだった。

 自身の事件から17年。米兵犯罪の被害者支援を続けるフィッシャーさんは訴える。「日本政府が本来やるべきことを、私は自力でやらなければならなかった。米兵の事件は、基地に賛成か反対かという政治的な議論ではない。犯罪を許すか、許さないかという問題だ。日本政府は立ち上がるべきだ」

連載「平成の事件」
 この記事は神奈川新聞社とYahoo!ニュースの共同企画による連載記事です。「平成」という時代が終わる節目に、事件を通して社会がどのように変わったかを探ります。4月8日から計10本を公開します。

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最終更新:4/16(火) 20:32
カナロコ by 神奈川新聞

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