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亡き長男への思いを曲に 岡山の女性がCD制作

4/16(火) 12:04配信

山陽新聞デジタル

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 〈自分の事より周りの事 気遣うあなたは 輝いています(中略)さようなら ありがとう シリウスT…〉

 自作の歌を収めたCDを聴きながら佐藤久子さん(83)=仮名、岡山市=が涙を拭った。7年余り前に50歳でこの世を去った長男への思いが詰まっている。曲作りの経験はなかったが、歌詞とメロディーがある日ふと湧いてきたという。

 息子は32歳だった1990年代半ば、胃や腸などの一部を切除する大手術を受けた。退院後は仕事もして元気に暮らしていたが、2011年秋に容体が急変し、帰らぬ人となった。

 「世界中の名医を探して助けようと決めていたのに…」。親より先に子が亡くなる逆縁の悲しみで、何年もふさぎ込んだ。

 6年ほどたったころ、なぜだか分からないが、歌の詞と旋律が浮かぶようになった。それを何とか形にしたいと、娘(56)と夫(82)も一緒になって協力者を探した。倉敷市のピアニストら3人にたどり着き、鼻歌を譜面に落として歌を吹き込んでもらって曲が完成。昨年10月、収録したCDを手にした。

 歌は2曲。「あなたに捧(ささ)げる『シリウスT』」は最も明るい恒星に、イニシャルがTだった在りし日の息子の姿を重ねた。もう1曲は息子から贈られた山野草の花を題材にした歌で〈あなたにもらった思い出の花よ(中略)あなたの笑顔 思い出しては涙する…〉と切ない心情をつづった。

 この2曲に加え、頼りになる夫への応援歌1曲も収めたCDを約50枚作り、知人らに配った。

 佐藤さんは歌をつくる過程で息子との別れに向き合い、少しずつ気持ちの整理がつき、今では歌を聴くと、息子に会えたような気がするという。そして、歌詞に込めた思いをこう語る。

 「たくさんの思い出をありがとうって伝えたい」

最終更新:4/16(火) 12:04
山陽新聞デジタル

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