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ハーバード大学の裏口入学、何がいけないの?

4/16(火) 21:43配信

ELLE ONLINE

ひとつは、エリート私立校の“義務”とも言えるこの相互扶助システムが機能しなくなっているから。

次に掲出された「空席が少ない」と題された、クラスの構成グラフ(上)がそれを説明してくれる。

学内入学手段別人口分布とも言えるこのグラフによれば、学部長リスト入り学生が10%いる。ここは推薦入学として一旦無視しておくとしよう。
 
しかし、スポーツ推薦学生が1割強、卒業生の子息が4割近くもいることで話がおかしくなってくる。

この「Legacy」は、ハーバード・ブランドの継承者。でもこれだけ入学確率で優遇されるなら、親(もしくは親類)がせっせとコツコツ母校のために寄付金を積んできたり、何かあればハーバードに資金を投入してくれていないと4割を占めるには割に合わない。もしくは子息が在学している間に授業料以上の何かを納めてくれるのならいいが、他大学卒業生よりも平均的に給与が高くても、ミリオネアである可能性は低い。

カリフォルニア大の教授らが2017年に発表した調査結果によれば、ハーバード卒男性の平均収入は110,200ドル(約1200万円)。もちろんここにはジェンダーギャップも存在し、女性だと76,400ドル(約850万円)になる。しかも平均を超えている卒業生は11%しかいないとハーバード大自身が公開しているデータが明かしている。つまり、「Leagacy」たちの親が、たとえ両親ともハーバード卒であったとしても、寄付金をたっぷり積めるほどのお金持ちである可能性は低い。それなのに4割も入れてしまっては、「ただの」コネ入学。なんの足しにもならない。

実際、ハーバードだけでなく、全米で富裕層学生が優秀な学生をサポートする構図が崩れてきているとスティーヴン・ラトナーは指摘。

「ニューヨーク・タイムズ」が発表した80のエリート大学における、学生がどの経済階層からきたのかを示すリストを引き合いに出し、彼が説明したのは「格差の拡大」。

これによれば2002年を境に、上位1%の富裕層と下位40%の割合が逆転し、その差は広がり続けている。親が寄付金を積める、もしくは積める可能性がある子供はどんどん送り込まれるのに対し、経済的に苦しい家庭の子供が奨学金をもらえるハードルは上がっている。

奨学金は、1割もいるスポーツ推薦学生(番組内でもハーバードのフットボールチームは金銭的な創出がないことが指摘されている)に奪われ、コネも何もない中間層の子供たちは入学するだけでも大変なのに、高額な授業料(ハーバード大の平均年間授業料は日本円で約160万円超)を負担するため多額のローンを抱えることになる。とくに授業料が高い理系学部では、能力はあってもそもそもハーバードを目指さない学生が増加しているという調査結果もある。

学問に秀でたふつう以下の家庭の学生がハーバード大学に入学することが困難になっていて、超富裕層か逆に極貧家庭でないと入れない。まさに、格差拡大社会そのもの。

大学は放っておけば格差や差別を反映した人口分布に簡単に成り下がる。だからこそハーバードやイエールなどの大学が、意識的にインクルージョンを進めるため、コネという名のアファーマティブアクション(恣意的差別、格差是正処置)が許されてきたのに、その結果が「ハーバードに入れたければ、勉強させるよりスポーツをやらせたほうが確立が高い」などという状況になていれば、本末転倒だ。でも「そんなこと」が本当に実現しつつあるアメリカ。

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最終更新:4/17(水) 18:05
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