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東京五輪自転車ロードレース女子代表選考基準を巡り、與那嶺恵理が仲裁を申し立て

4/17(水) 12:00配信

Cyclist

 2020東京五輪自転車ロードレース女子代表の選考をめぐって、日本自転車競技連盟(JCF)が選手から仲裁を申し立てられていることが4月17日、分かった。申し立てしたのは、イタリア籍のチームに所属し欧州を舞台に活躍している與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)。代理人の弁護士を通じて、自転車ロードレース五輪代表の選考方法が男女の間で不公平だとして、選考基準の見直しを求め、日本スポーツ仲裁機構(JSAA)に申し立てを行っている。

 申し立ての内容は、JCFが2018年9月に発表した2020東京五輪自転車ロードレース代表選手の男女の選考基準について、「①女子のみ順位を基準とすることの不合理性、②女性の選考機会が不当に制限されている」と選考基準の取消しと、適正で男女の平等に配慮した選考基準定立し直すことを求めたもの。「スポーツのあらゆる場面における男女平等を基本原則としたIOCのオリンピック憲章に反し、代表選考における男女の機会均等を大きく損なう」と主張している。
男子はポイント重視、800レース対象

 ①の選考基準に関して、JCFが昨年発表した基準では、男子については「2018年国際自転車競技連盟(UCI)ワールドランキング配点表のポイントに、該当するランク(表①参照)により対応する係数を乗じて計算したポイント合計の上位者から順に選考する」としている。ランクはツール・ド・フランスなどUCIワールドツアーの14レースがAランクで係数が最高の「10」、ランクBが「Aランク以外のUCIワールドツアー及び世界選手権ロードでの獲得ポイント」、以下Hまで8ランクに細分化され、日本一を決める「全日本選手権ロードレース」の獲得ポイントは下から2番目の「Gランク」で係数は「0.5」とあまり重要視されない基準になっている。
女子は順位重視、100レース対象

 一方で女子は9段階のランクに応じた「対象レースでの順位」が重視されている(表②)。優先順位1位の中でも細分化され、最上位「Aランク」は世界選手権15位以内、Bランクにはジロ・デ・イタリアの総合15位以内と続いている。ランク4までは女子ワールドツアーのレースが指定され、日本一を決める全日本選手権については、全体のランクの真ん中の「優先順位5」に該当することになっている。與那嶺は今季、日本人女子選手でヨーロッパのワールドツアーに出場している唯一の選手だ。
 ②の選考機会については男子ロードの選考対象期間は、男子が2019年1月1日から2020年5月31日の1年6カ月、約800レースあるのに対し、女子は2019年4月21日から~2020年5月31日の1年1カ月あまり、対象レースも約100レースほどになっている。
 與那嶺の代理人・湯尻淳也弁護士は「具体的には男子ロードについては、UCIポイントの多寡により代表を選考する方法を採用し、欧州のワールドツアーレースなどのUCIポイントには、最大で10倍の係数を乗じることとしているが、全日本選手権におけるUCIポイントの係数は0.5倍と非常に低く設定。男子においては、ワールドツアーにおいて60位以内に入り、UCIポイントを獲得できれば、非常に有利な判定を受け、日本一の選手を決める全日本選手権における逆転は非常に困難な内容。一方で女子においては、優先順位の高い選考項目について、特定のワールドツアーレースなどでの15位や10位以内というように、非常に高い順位を基準とした選考方法が採用されている」としている。
 與那嶺は昨年、全日本ロード選手権を3連覇し、2020東京五輪代表の最有力候補。マウンテンバイク(MTB)でも日本タイトルを獲得している。2016年リオデジャネイロ五輪代表選考時には、日本代表として出場したアジア選手権で日本チームの指示や方針に従わなかったとして、いったん「五輪代表選考外」とされた。その後、スポーツ仲裁で争い、その選考が取り消された後、代表選考レースで優勝。リオ五輪で日本人女子過去最高の成績を残した。
日本スポーツ仲裁機構がJCFの五輪代表選考外処分を取り消し(2016年6月27日掲載)
 與那嶺は今回の申し立てに対し、以下のように話した。

與那嶺のコメント
 私はJCFに対し、男子と同じ機会とチャンスをすべての女子選手に与えた上で、公正に選考を行うよう、男女とも差別なく、平等な扱いを強く主張をしましたが、JCFは一向に判断を変えないため、私は代理人を通しスポーツ仲裁機構の判断を頂くこととなりました。
 IOCオリンピック憲章にある通り、男女差別を助長する判断を認めることは出来ません。
4- 平和を推進する活動に参加し、オリンピック・ムーブメント所属員の権利を守るために行動し、オリンピック・ムーブメントの妨げとなるあらゆる差別と闘う。
5- 適切な手段により、あらゆる階層および組織において女性のスポーツ振興を強く奨励する。とりわけ国内ならびに国際スポーツ組織の執行部においてこれを推進し、男女平等の原則の完全実施を目指す。
6- スポーツ倫理の普及を支援し、奨励する。
【オリンピック憲章 Olympic Charter 1996年版 (財)日本オリンピック委員会】
 
 JCFが行う徹底した男女差別を行った選考基準を私は認めることは出来ません。まずはスポーツ仲裁機構において和解に至るよう調停を申し立てました。調停後、JCFが出しました補足説明があまりに拙速な内容でしたので、仲裁判断を頂きたく、申立をした次第です。(JCFはストラーデ・ビアンケが平坦と主張するなど)
 選考基準については、男子は約800レースが選考基準とされ、UCIポイントに対して係数を掛けて換算されます。女子はたった約100レースが選考基準とされ、さらにUCIポイントではなく、順位のみで判断を行うとJCFは主張します。
 そして選考期間も男子は2019年1月1日より2020年5月31日までですが、女子に至っては、2019年4月21日より2020年5月31日までと5カ月間近く短縮され、不当に短い期間となっております。
 選考レース数も少なく、選考期間も短い、とても公平で公正な選考とは思えません。この男女格差、差別を私は認めることは出来ません。よってスポーツ仲裁での判断を頂きたく、申し立てをした次第です。

 Cyclist編集部の取材に対しJCF広報部は「仲裁の申し立てが具体的に上がってきてから対応したいと思います」と話すにとどめた。今後、仲裁パネル(仲裁判断をする3人の仲裁人により構成)が組織され、双方の主張が出そろったところで、審問期日が開催され、その上で仲裁判断がなされることになる。

最終更新:4/18(木) 18:42
Cyclist

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