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佐賀は「カメの楽園」!? 水路には甲羅干しするカメが“鈴なり” アカミミガメによる蓮(ハス)の食害も

4/17(水) 12:00配信

佐賀ニュース サガテレビ

ポカポカ陽気の春本番。陽気に誘われて、「散歩でもしてみようかなあ」と外出に前向きになるこの季節。

人間以外も同じようで、鳥は鳴き声の種類が増え、いろんな虫と出会う。そして、佐賀のこれからの風物詩といえば、「カメの甲羅干し」だ。
水路をそっとのぞくと、いる、いる。カメが水から上がり、集団でじっとしている。ちょっとでも物音や気配を感じさせようものなら、「バタバタ」と蜘蛛の子を散らすように、水の中に逃げていく。
そう、佐賀はカメが多い。農業が盛んな佐賀平野は、「クリーク」と呼ばれる水路が張り巡らされている。クリークは流れもほとんどないためか、カメがゆったり過ごせるのだろう。佐賀は「カメの楽園」という人もいるほどだ。水路だけではない、車で走っていると、カメが道路を歩いて渡っているのをよく見かける。

田園風景に溶け込むカメの甲羅干し。のどかな田舎ならではの景色だが、楽しんでばかりはいられない。甲羅干しをしているカメはほとんどが、外来種「ミシシッピアカミミガメ」だ。ミシシッピアカミミガメは、もともとはアメリカ南部からメキシコなどに生息していて、環境省によると、日本には1950年代後半からペット用の「ミドリガメ」として輸入されるようになった。
お祭りの屋台で売られていたあの小さなミドリガメが、ペットとして飼育されなくなり、野外に放たれ、いまや北海道から沖縄まで全都道府県に分布している。2016年に環境省が発表した推計では、日本に生息するアカミミガメは、約800万匹とされている。在来種のニホンイシガメよりも産卵数が多く、繁殖力が強い。体長もニホンイシガメより大きく、早く成体になるという。このため、在来のカメのすみかや餌を奪って、生息数を増やしているとみられる。

佐賀では、佐賀城の周りを囲む濠(ほり)の蓮(ハス)が、全滅するという被害があった。この原因が、ミシシッピアカミミガメだった。蓮の茎をカメが食いちぎっていたのだ。
2010年、濠にわなをしかけ、カメの捕獲作戦が展開された。夕方に濠に沈めたかごを、早朝引き上げると、大量のミシシッピアカミミガメがかかっていた。捕獲を何度も繰り返した結果、カメが減り、蓮が復活した。
今では、夏になると濠は青々とした蓮の大きな葉で覆われ、ピンク色の大輪の花が咲く。人の背丈ほどあろうかという蓮が佐賀城の濠に生い茂る風景は、圧巻だ。まさに“SNS映え”の景色だ。

こうした事態を受け、国はアカミミガメを「緊急対策外来種」と位置付け、2015年から「アカミミガメ対策推進プロジェクト」に取り組んでいる。「野外への大量の遺棄の防止」や「野外における防除」などが柱だ。日本本来の生態系を回復させることで、地域の魅力を高めることがねらいだという。
生態系の変化や農業被害・・、外来種のカメが悪者になっているが、もともとは人が飼育しなくなったものを野外に放したことが始まりだ。カメにとって日本が“楽園”だったかどうかは分からないが、生き抜くため、異国の環境に適応してきた結果、「緊急対策外来種」となった。

「カメの楽園」佐賀で、陽気に誘われ甲羅干しをしているカメたちを見ながら、現状を目の当たりにした。もっとも、カメは自分たち巡って、こんな議論が起きていることを当然知る由もない。

サガテレビ

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