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本との出合いプロデュース 「世界をつなぐ中継点」 メトロ書店

4/17(水) 16:00配信

長崎新聞

 長崎市を拠点に福岡、神戸などで4店舗を展開するメトロ書店(川崎孝代表)。オンライン書店の台頭や電子書籍の普及などで、店舗を持つ書店を取り巻く環境は厳しさを増しているが、同店では読書アドバイザーによる本選びのサポートや作家らのサイン会など“リアル書店”ならではのサービスを実施。本との出合いをプロデュースする営業スタイルにこだわっている。
 書店を経営する川崎興産は1959年設立、今年3月で60周年を迎えた。65年に開業したメトロ書店1号店は当時、長崎市大黒町にあった映画館「長崎ニュース劇場」の一角に小さな売り場を設け、映画関係の本などを販売していた。フランス語で地下鉄を意味する「メトロ」という店名は、同劇場が地下にあった事に由来している。
 80年、同町に旧本店をオープン。当時としては売り場面積約260平方メートルの大型店舗で、手作業による書籍の在庫管理に苦労した。そのため82年、国内で初めて書籍の在庫状況を管理するコンピューターシステム「メトロシステム」を独自開発。売れる本を仕入れ、売れなかった本を返品する作業が容易となり、売り上げが大幅に伸びたという。同社は全国の書店に同システムを販売。現在、約1700店で導入されている。
 同店はIT化による業務効率化で浮いた人手を、接客サービスなどに投入。2000年、同市尾上町の商業施設・アミュプラザ長崎内に開店した長崎本店では、店内に読書相談カウンターを設置している。出版文化産業振興財団(JPIC)公認読書アドバイザーである川崎綾子代表取締役常務は「転職に役立つ本を探していた男性にビジネス書ではなく、あえて小説を紹介して喜ばれた。フィクションの中にこそ共感できる人生が描かれていたりする」と話す。
 また、本県出身の直木賞作家、佐藤正午さんや芥川賞作家、吉田修一さんら著名人を招いてサイン会を開いたり、客同士が愛読書の魅力を語り合う書評合戦「ビブリオバトル」などを実施。オンライン書店では体験できないリアルなイベントを通じて、来店客に読書の楽しさを伝えてきた。
 昭和から平成にかけ書店を取り巻く環境の変化について、川崎常務は「紙の本が徐々に売れなくなってきている。空き時間に読書をする人が減っているのもあるが、電子書籍が読めるスマートフォンの普及も要因だろう」と分析する。一方で「カズオ・イシグロさんのノーベル文学賞受賞で、本は人種や国境を超えると実感した。書店は世界をつなげる中継点とも位置付けられる。創業100年を目指して頑張りたい」と意欲を燃やす。

最終更新:4/21(日) 21:19
長崎新聞

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