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新紙幣の顔 渋沢栄一の漢詩の軸を確認 京都・霊山歴史館

4/17(水) 10:34配信

毎日新聞

 2024年度からの新しい1万円札に採用が決まった実業家で、「近代日本の資本主義の父」とされる渋沢栄一(1840~1931年)が渡米時の所感を28文字の漢詩で書いた掛け軸が、京都市東山区の霊山(りょうぜん)歴史館で確認された。明治末期ごろの作と推定され、同館は渋沢の名前と雅号「青淵(せいえん)」の朱印があることから直筆とみている。開催中のリニューアル特別展で第2期の16日から展示を始めた。

 昨年の「明治150年」の記念で、横浜市の男性が集めた歴史資料「武渓(ぶけい)文庫」から同館が譲り受けた史料の中にあった。男性は京都の古美術商から入手したという。漢詩は紙本より上質な絹本(けんぽん)(縦1メートル48センチ、幅42センチ)に揮毫(きごう)されていた。

 渋沢史料館(東京)によると、渋沢は1909(明治42)年、50人超の渡米実業団を組織して団長を務め、シアトル、シカゴ、ニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルスなど全米主要都市を約3カ月かけて歴訪。タフト大統領や発明家のトーマス・エジソンら有力者とも会見し、一行は各地で歓迎された。

 米国は当時、日露戦争に勝った日本を脅威に感じており、日本人移民への排斥運動なども起きていた。悪化していた日米関係の修復を実業団が図り、「民間経済外交」として一定の成果を上げたとされている。

 漢詩は北米大陸を横断した際の充実した思いを表現したとみられる。軸に記されたため書きから豪商・三井家の別家で、京都織物や王子製紙の重役などを務めた第4代中井三郎兵衛に頼まれて書いたと、霊山歴史館は推測している。木村幸比古(さちひこ)副館長は「『百聞は一見に如(し)かず』と、米国の内実を渋沢は実業団のメンバーに見せたかったのだろう。新1万円札に採用される渋沢の業績にぜひ注目してほしい」と話す。

 展示は5月12日まで。有料。問い合わせは同館(075・531・3773)。【中津川甫】

最終更新:4/17(水) 11:24
毎日新聞

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