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「鉄塔の美女」くびれに止まり木? 神戸ポートタワー棒の謎

4/17(水) 14:00配信

神戸新聞NEXT

 ミナト神戸のシンボル「神戸ポートタワー」。地上約60メートルの「くびれ部分」から、水平に1本の棒が突き出ている。長さは約1メートルで、タワー同様に赤色。一体あれは何? 受付のスタッフに尋ねてみたが、正体は分からない。そこで関係各方面に取材をすると、ポートタワーの知られざる役割が明らかになった。

【写真】タワーの「くびれ部分」から伸びる棒

 高さ108メートルの神戸ポートタワーは1963年完成。国内外から人が訪れる神戸随一の観光スポットだ。

 受付で声を掛けた男性スタッフは「国籍問わず多くの観光客にタワーを解説してきたが、今回の指摘は初めて」と戸惑った様子。まさかとは思いつつ「鳥の止まり木では」と記者の見立てをぶつけてみたが、「スズメやハトは20メートル以上の高さは飛びませんわ」とあっさり否定された。

 タワー内の事務所には、設計から完成までを記録した資料が残る。完成当時の外観写真でも例の突起は確認できたが、用途や名称の記載は見当たらない。飛行機に建物の存在を知らせる「航空障害灯」かと考え、夜まで待ったが、明かりはともらなかった。そもそも夜間はタワー全体がライトアップされている。その必要性はなさそうだ。

 設計を担った建設会社にも問い合わせたが、返ってきた答えは「50年以上も前の話。当時の設計関係者は会社におりません」。ただ、貴重なアドバイスも得た。「タワーの外壁で作業をするときに命綱を掛けるためかも。確か数年前に外壁を塗り替えたはずです」

 かすかな手掛かりに興奮を覚えつつ、塗装業者の連絡先を調べようと今年3月末までタワーを運営していた「神戸港振興協会」に電話をかけた。「調べてみますので少々お時間を」と待つこと数分。「どうやら気温を測る機器のようです」。一気に答えにたどり着き、思わず聞き直した。

 正式には「ポートタワー気象観測局」と呼ばれ、神戸市環境局が管理を行う。突き出た棒にはキノコ形で高さ30センチほどの機器が設置されており、気温を測っている。突き出ていたのは「建物の影響を受けないよう、観測器を遠ざけるため」という。

 なるほどと納得しつつ、もう一つ気になる点が。なぜミナト神戸のシンボルに観測計があるのだろう。

 「観測が始まった時期は完成翌年の1964年。当時の港内で100メートルを超え、周囲の建物の影響を受けにくい施設はポートタワーだけだったんです」と同市の担当者。観測データは市などが大気環境を把握する「環境常時監視システム」に利用し、光化学スモッグや微小粒子状物質「PM2・5」といった大気汚染の注意報発令などにも役立てているそうだ。

 これで取材は完了と思ったところで、ふと謎が湧いた。「気温の観測施設としては世界で何番目に大きいの?」。壮大すぎる新たな疑問にしばし立ち尽くした。(末吉佳希)

最終更新:4/17(水) 14:42
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