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住民の帰還進まず=災害再発の不安、生活基盤移転-熊本地震で被災の集落・南阿蘇村

4/17(水) 7:18配信

時事通信

 熊本地震で甚大な被害を受け、全域が「長期避難世帯」に認定された熊本県南阿蘇村の立野地区。

 2017年10月の認定解除で再び居住できるようになったが、子育て中の若い世代を中心に帰還が進んでいない。住民からは「災害時の助け合いや地域活動が成り立たなくなる」と不安の声が漏れる。

 国道やJR豊肥線に沿った山の斜面に位置する立野地区は、土砂崩れのほか、水力発電所の貯水槽が損壊して流出した大量の水で家が流されたり、阿蘇大橋が崩落したりする被害に見舞われた。

 地震前は360世帯880人が生活していたが、約270戸が損壊。長期避難世帯の認定解除から約1年半が経過しても、地区に戻ったのは約110世帯にとどまっている。南阿蘇村によると、災害再発への不安のほか、避難先で子どもが通学しているなど生活基盤の移転により帰還を諦めるケースが多いという。

 立野の新所地区で区長を務める吉野光正さん(73)によると、農作業に向け、地区内共同で農業用水路の泥や草を清掃する作業を毎年春に行っているが、今年の参加者は地震前の半分の約40人だった。近隣十数世帯でつくる日常活動の基盤となる小グループ「隣保班」も編成できていない。隣保班では班長が村からの配布物を各戸に配ったり、葬儀などの際に班単位で助け合ったりする。

 立野には3月、被災者の恒久的住居となる災害公営住宅40戸が完成したが、辞退が相次ぎ入居予定は30戸にすぎない。3月末まで新所区長だった江藤俊雄さん(69)は「県や村は治山事業など安全対策を進め、住民も協議会を設立して地域再生に向け活動している。だが、傾斜地に見えない亀裂があるのではといった心配で地域再生どころではないという住民も多いのではないか」と推し量る。

 吉野さんは「住人同士の触れ合いが減った」と危惧。「急傾斜地に住宅が建つ立野は、地震前から大雨の際の不安に悩まされてきた。若い世代の減少で、要避難者の把握や避難支援が行き届かなくなるのでは」と不安を募らせている。 

最終更新:4/17(水) 7:27
時事通信

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