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日本電産がオムロンのカーエレ子会社を1000億円で買収、車載モーターの制御系強化

4/17(水) 6:25配信

MONOist

 日本電産は2019年4月16日、東京都内で会見を開き、オムロンの100%子会社で車載電装部品を手掛けるオムロンオートモーティブエレクトロニクスを買収すると発表した。買収額は1000億円で、2019年10月末の手続き完了を予定している。オムロンオートモーティブエレクトロニクスは、モーター制御や電源制御、アクティブセーフティ向けのセンサーとしてドライバーモニタリングやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)、ボディー系の電装部品を製品に持つ。

オムロンオートモーティブエレクトロニクスの製品(クリックして拡大) 出典:日本電産

 日本電産はオムロンが保有するオムロンオートモーティブエレクトロニクスの全株式を取得し、オムロンがブラジルとメキシコに持つ車載関連の生産販売子会社も譲り受ける。ベトナムやインドネシア、香港にあるオムロンの生産販売子会社からは、車載関連の事業のみを日本電産に譲渡する。買収後にオムロン本体に残る車載関連のビジネスは、スイッチやリレーといった電子部品にとどまる。

「付加価値の高いECUを押さえなければ」

 日本電産 代表取締役会長兼CEOの永守重信氏はオムロンオートモーティブエレクトロニクスについて「制御に強いことが魅力だ。何の制御かというとモーターの制御だ。これまで日本電産はECU(電子制御ユニット)を外注し、モーターに取り付けて販売してきたが、ECUの付加価値が高まってきている。ECUを取り込んで押さえなければ競争には勝てない。制御技術の開発に特化してやっている企業は、日本電産エレシス(旧ホンダエレシス)とオムロンオートモーティブエレクトロニクスくらいしかなかった」と語った。

 ADAS(先進運転支援システム)においても、日本電産エレシスとオムロンオートモーティブエレクトロニクスのシナジーが大きいとしている。日本電産エレシスはミリ波レーダー(※)やカメラを手掛けており、オムロンオートモーティブエレクトロニクスの製品が加わることで、自動運転車で需要が高まるセンサー製品群がそろうという。

(※)関連記事:ミリ波レーダーに「60年に1度のパラダイムシフト」、高周波アンテナで新構造

 オムロンは売却の狙いについて、「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる大きな変革の中で競争優位性を構築するには、質、量ともにこれまでとは異なる規模の投資が必要だ。車載部品を成長戦略と定義し、CASE領域で強い技術と製品を持つ企業の下で事業を加速させることがオムロンオートモーティブエレクトロニクスにとって最良の選択だ」(同社プレスリリースから抜粋)とした。永守氏も「ECUだけを売るのではなく、モーターメーカーとくっつくことでオムロンオートモーティブエレクトロニクスは光る」と語った。

 また、オムロンオートモーティブエレクトロニクスを譲り受ける狙いについて、自動車メーカーから要求が高まっているモジュールやプラットフォームでの部品納入に対応することも挙げた。特に中国自動車メーカーは「クルマに乗せればすぐ走れますというレベルを求めている。ティア1サプライヤーがやっていた仕事だけでなく、これまで自動車メーカーがやっていたことまで代わりにやる必要がある」(永守氏)。買収により、電動パワーステアリング、ウォーターポンプ、電動オイルポンプなど向けのモーターの他、電動車の駆動用モーターといったハードウェアと制御系ECUをセットで納入する。

 こうした事業展開について、永守氏は「もともとティア1サプライヤーが自前でやっていたことだ。しかし、時間軸の速さや競争の激しさを考えると、サプライチェーンを変えていく必要がある。日本電産としては2028年くらいまで受注が積み上がっており、制御系の開発は技術と人員の面でキャパシティ不足になっていた。オムロンオートモーティブエレクトロニクスを譲り受けることで、500〜600人のエンジニアが一気に手に入る。製品のシナジーも大きいし、得意な海外市場を補完し合うことでビジネスも広がる」と説明した。

EVをプラットフォームで手掛ける

 日本電産は「クルマはつくらない」(永守氏)という方針だが、2030年に向けた商材として「EVプラットフォーム」の準備を進めている。駆動用モーターに加えてバッテリーシステム、熱マネジメント、空調システム、ブレーキシステム、シャシー、ステアリング、サスペンションを電気自動車(EV)向けにまとめて手掛ける。

 現時点でEVプラットフォームの全ての製品や技術が日本電産グループにそろっているわけではない。永守氏は「どこの会社を買うか分かってしまうので、次に何を補強するかは答えない」としつつも、「誰でもできることはやらない。自動車メーカーが困っているところをやる。EVは価格競争になるのが明確だ。キーとなる部品の値段をどれだけ下げるかが自動車メーカーの勝敗を決める」と語った。

 永守氏は今後のEV市場の見通しも語った。「これから、クルマはスマートフォンやPCのように1年に何度も新製品を出すようになるだろう。何年もかける開発ではなくなる。車載用モーターで最後発の日本電産がこうした環境で売り上げを伸ばせるのは、小型化と低コスト化という競争力があるからだ。それをさらにモジュールで納入できる。生産ラインの立ち上げも早い。こうした新型車投入の在り方に対応していく」(永守氏)。

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最終更新:4/17(水) 6:25
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