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ノートルダム5年以内再建 野心的目標の裏にマクロン氏狙い

4/17(水) 20:43配信

毎日新聞

 【パリ賀有勇】パリ中心部のノートルダム大聖堂の火災はフランス全体を大きく揺るがし、その対応次第では、マクロン政権の行方を左右しかねない状況だ。マクロン大統領は16日、国民向けのテレビ演説で「より美しい大聖堂を5年以内に再建する。我々はできる」と強調。支持率が低迷するなか、火災をきっかけに国民の結束を促し、求心力を高める狙いもありそうだ。

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 火災で大聖堂は高さ約90メートルの尖塔(せんとう)や屋根の3分の2が焼失。仏北東部ストラスブールの大聖堂の修復を手掛けたルーブル・ノートルダム財団のエリック・フィッシャー会長は「再建には数十年かかる」との見通しを示す。2024年のパリ五輪を視野に「5年以内の再建」を訴えたマクロン氏は、野心的な目標を掲げたと言える。18年11月から続く反政権デモによる求心力低下が指摘されており、5月に迫った欧州議会選挙を前にそのイメージの払拭(ふっしょく)を図る狙いがありそうだ。

 マクロン氏は財界などに再建に向けた寄付を要請。仏紙フィガロによると17日現在、国内外から計約10億ユーロ(約1270億円)の寄付の申し出があった。フィリップ首相は17日、再建計画の国際的なコンペティションを実施すると発表した。

 一方で、突然の災禍によって「政治戦略の中断を強いられた」(仏ラジオ・ヨーロッパ1)とも指摘される。

 マクロン氏は15日夜、反政権デモの沈静化に向けた国民への支援策をテレビ演説で発表する予定だったが、火災を受けて放送は中止。発表するはずだった▽中産階級に対する減税▽地方の公務員増員▽富裕税の再導入の検討――などの支援策は16日にメディアにリークされた。

 マクロン氏は反政権デモを受け、国民の声を聞く「国民大討論会」を1月から仏全土で実施。支持率も上向き始めたなかで、支援策の発表を国民の不満を取り除く「決定打」としたかった。

 16日の演説は約6分間。「災難を団結する機会に変えるかどうかは我々次第だ」と国民に呼びかけたが、支援策発表は見送った。

 火災を巡っては大聖堂の改修工事が火元と疑われており、仏捜査当局は17日も、改修工事に携わった従業員らから事情を聴くなどして捜査員約50人態勢で出火原因を調べている。仏メディアは作業用の足場付近や作業用エレベーターから出火した可能性を報じている。

最終更新:4/18(木) 11:01
毎日新聞

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