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焦点:ドル年初来高値更新、円相場の構造変化も支援

4/17(水) 16:16配信

ロイター

[東京 17日 ロイター] - ドル/円<JPY=>が17日、年初来高値を更新した。直接のきっかけは日米通商交渉で為替条項に関する議論が表面化しなかったことだが、英国の欧州連合(EU)離脱問題など当面のリスク要因が後退しつつあり、円に下落圧力がかかりやすくなっている。相次ぐ日本企業による海外企業の買収が、経常収支や円相場に構造変化をもたらしている点も関心を集めている。

<ドル押し目待ち戦略は不発>

17日午前の外為市場で、ドルは一時112.17円まで上昇。3月5日の年初来高値を上抜け、昨年12月20日以来4カ月ぶり高値を更新した。

この日の手がかりは日米交渉。日本時間の朝方、ワシントンで会見した茂木敏充経済再生担当相が、為替問題については財務相間で議論すると交渉で伝えたと発言。米側から特段の反応もなかったことで、市場では「日本は無事に切り抜けた」(大手証券)との見方が広がり、円高警戒感が後退したという。

複数の市場筋によると、交渉で為替条項を突きつけられ円高が進行した場合に、ドルの下値で買いを狙っていた参加者が少なくなかった。米が通商交渉に付帯させる為替条項は、国内世論へのアピールを重視したもので、環太平洋連携協定(TPP)や米・メキシコ・カナダの貿易協定(USMCA)と同様、実質的な効果はあまりないとの見方が多かったためだ。

しかし、ドルはこの日も112円付近で底堅い動きとなり、押し目待ちの戦略は画餅に終わった。「なかなか下がらないドルを買う機会を逸している参加者が増えており、買いオーダーを切り上げざるを得なくなっている」(大和証券・投資情報部チーフ為替ストラテジスト、今泉光雄氏)状況に追い込まれているという。

<遠のく危機、売られる円>

円に売り圧力がかかりやすくなっているのは、世界経済のリスクとされる様々な問題が下火になり始めたことも一因だ。米国主導の国際通貨基金(IMF)ですら懸念を隠さない米中貿易摩擦には両国の歩み寄りが見え始め、日本の機関投資家が運用難の環境下で頼みの綱としてきた欧州で目立っていた景気の減速懸念にも、 欧州中央銀行(ECB)は利上げの先送りで景気を下支えする姿勢を明確にした。

さらに英のEU離脱期限は、10月まで先送りとなり、無秩序離脱が世界経済を混乱に落とし入れるリスクは当面後退。中国ではこの日発表の第1・四半期国内総生産(GDP)が予想を上回る前年比6.4%増となり、少なくとも経済指標の改善は続いている。景気減速の前触れとされる米長短金利の逆転も、今月に入り発生していない。

楽観論の復権は早くも市場のあちこちに表れている。47カ国の指数で構成するMSCI世界株価指数<.MIWD00000PUS>は昨年末からV字回復で、昨年10月以来の高値を奪回。新興国通貨指数<.MIEM00000CUS>も昨年6月以来の高値圏となる年初来高値に接近してきた。

リスクオンムードが市場に広がれば、円は売られやすくなる。実際、市場心理の明暗を反映しやすいとされる豪ドル/円<AUDJPY=R>は昨年12月以来、幾度も阻まれてきた80円の上限をようやく突破。この日も続伸し、4カ月ぶり高値を更新した。

<経常黒字でも毎月1兆円超の円売り圧力>

日本企業による相次ぐ海外企業の買収で、日本の国際収支に構造的な変化が起こっている点も見逃せない。日本は世界でも代表的な経常黒字国であるものの、それに関連して実際に発生する円相場の売買は毎月1兆3000億円程度、円売りが円買いを上回っている可能性があるとの試算が出てきた。

経常黒字の中には、外貨準備から発生する利子など所得収支黒字として計上されるが、実際は外貨のまま保有されるものも多い。

シティグループ証券・チーフFXストラテジスト、高島修氏は、そうした未実現の円買いや海外企業買収に関連した円売りなど、いくつかの項目ごとに仮定を置いて推計。「経常収支と直接投資収支を合計した基礎収支に、非常に大きな構造変化が起こっており、日本にお金が戻りづらくなってきた。円売り超の需給環境は、最近円高が進みにくくなったひとつの背景だ」と説明している。

(基太村真司 編集:田巻一彦)

最終更新:4/17(水) 23:19
ロイター

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