ここから本文です

4回目の「13R」でやっと合格 マイネルパラディ復活勝利の裏側

4/17(水) 13:14配信

スポーツ報知

 中央競馬は12Rまでだが、最終レース後に行われるゲート再審査のことを「13R」と呼ぶ。熱心な競馬ファンなら、競馬場からの帰り際に見たことがあるのではないだろうか。

【写真】復活勝利を挙げたマイネルパラディ

 正式には「発走調教再審査」。ゲート内の枠入、駐立、発走が悪い馬に課せられ、改善が見られないと競馬場まで行って13Rに合格しないとレースに出走できない。2000年の皐月賞でスタート直前に立ち上がって騎手を振り落としたラガーレグルスが、ゲート再審査を受けたケースを覚えている方もいると思う。

 流れを説明すると本当のレースと同じように装鞍所に行き、ジョッキーが騎乗。パドックを周回し、馬場入場を行ない、ファンファーレが鳴った後にスタンド前のゲートに移動。そして枠入、駐立、発進の状況を審査するものだ。

 ゲートを嫌がる馬にとって、高い障壁となる13R。先週、4月14日の阪神9R・千種川特別を勝ったマイネルパラディは、4回目でやっと合格。すると、10か月ぶりに実戦復帰して鮮やかに逃げ切った。

 もともとゲート内で立ち上がるクセがあった馬。昨年6月、函館・HTB杯(7着)のゲート内で大きく立ち上がったためゲート再審査が課せられ、苦難の道は始まった。

 最初は昨夏の札幌で、丹内祐次騎手を背に受けたが不合格。栗東に戻ってからは、国分恭介騎手が付きっきりで稽古をつけた。昨秋に京都で受けたときはゲートでひっくり返るぐらい立ち上がり、国分恭を振り落として再度不合格に。その後、去勢して阪神で2回再審査を受け、今年3月9日にようやく合格した。

 担当の山田正次助手は合格までの過程を振り返った。「普段は全然そんなところがないけど、競馬のときだけ立ち上がります。賢いところがあり、馬が完全にレースと練習の違いを分かっているんです。練習してもゲート内で人間との信頼関係がなかなか築けませんでした。ジョッキーをケガさせたくないので、いろいろ対策を考えました」

 改善の兆しが見られたのは3回目の再審査。山田助手は「普通にやっては合格できない。本当は良くないけど、元気のない状態で競馬場に連れて行くことしかできなかった。かわいそうでも13Rに受からないことには、この馬は先がないわけだから…」。食欲旺盛で元気な愛馬には申し訳ない思いでカイバ、調教の量を減らして阪神競馬場に連れて行くと、少し立ち上がりはしたが、以前とはゲートの中での雰囲気が違う。そして「ギリギリ我慢してくれた」という4回目で、ついに合格した。

 復帰戦ではスタート直前に少し立ち上がったが、好発を決めてハナに行き完勝。だが、国分恭は「今回も立ち上がって、すみません」と、レース後に田所秀孝調教師に謝っていた。「立ち上がってしまうと他の馬に迷惑をかけますから」と、勝ったことよりも他馬のことを気遣った国分恭。それでも厩舎スタッフ全員が「恭介は危ない思いをしながら一生懸命にやってくれて、感謝の言葉しかない。山田助手も長い間、本当によく頑張っていた。苦労が報われてよかった」と喜んでいた。

 13Rでは競馬場の独特の雰囲気でテンションが上がり、合格できないまま引退してしまう馬もいる。田所調教師は「引退させるといっても乗馬になるならいいけど、地方で走らせるとなると制裁がネックになって入れない地区がある。そういうことまで考えた。4回目でダメだったら仕方ないと思っていたけど、受かってよかった。みんな一丸となっての勝利。ドラマだね」と格別な1勝だった。

 サートゥルナーリアが中山の皐月賞で勝ち、日本の競馬の新スターが誕生した日に阪神でドラマは生まれていた。(中央競馬担当・内尾 篤嗣)

最終更新:4/17(水) 17:41
スポーツ報知

こんな記事も読まれています

スポーツナビ 競馬情報

重賞ピックアップ

あなたにおすすめの記事