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ボルボの新型「V60 クロスカントリー」、洗練のルックスと滑らかな乗り心地

4/17(水) 14:30配信

Impress Watch

■V60をベースに車高を70mmアップ

 ボルボを街中で見かける機会が本当に多くなった。ボルボ・カー・ジャパンによると折からのSUV人気も加わり、「XC60」や「XC40」は未だに多くのバックオーダーを抱えているという。そうしたなか、ボルボの顔とも言えるステーションワゴンの最新モデル「V60」も引き合いが強くなっているようだ。

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 2018年9月にデビューを果たしたV60は過去モデル「V70」、さらには日本でも大ヒットした「850 エステート」をルーツに持つボルボの主力ステーションワゴンだ。現行型のV60は4760×1850×1435mm(全長×全幅×全高)と、日本の道路環境でも扱いやすいボディサイズに収まる。V60の開発にあたっては、日本導入を見越して全幅を可能な限り狭めることが本国へリクエストされ、結果、最新のボルボが求めた安全基準を満たしながら1850mmを達成している。ちなみにこの数値はXC40よりも25mm狭い。

 今回試乗した「V60 クロスカントリー」はV60がベースだ。車高を70mm高めて1505mmとし、最低地上高を65mm高めた210mmとした。グレード構成は2タイプで、標準仕様の「クロスカントリー」がV60における「Momentum(モメンタム)」と並び、「クロスカントリー T5 AWD Pro」が上級仕様「Summum(サマム)」(「V90 クロスカントリー」でのグレード名)と同様の装備となる。

 日本市場におけるパワーユニットは、「B420」型と呼ばれる直列4気筒2.0リッター直噴ガソリンターボ1本で、最高出力187kW(254PS)/5500rpm、最大トルク350Nm(35.7kgfm)/1500-4800rpmの出力特性を持つ。駆動方式は4WDのみ。トランスミッションはトルクコンバーター方式の8速ATで、後輪へは変向機を介したプロペラシャフトを通じて駆動力を伝えている。

 4WDシステムには最新の第5世代となるハルデックスカップリング方式を用い、前輪のスリップ率に応じて後輪へ最大で50%の駆動力を伝達する。なお、発進時から約80Nm(約8.1kgfm)の駆動トルクをかけ続けていることから実質的には常時4WDであり、とくに滑りやすい路面では発進加速時から安定した走行が行なえる。

 また、他のボルボ車同様に高出力化キットである「ポールスター・パフォーマンス・ソフトウェア」がV60 クロスカントリーにも用意されるとのことで、こちらを装着した場合、車載の「ドライブモード」スイッチを「ダイナミックモード」に変更、または車両挙動安定装置である「ESC」機能をOFFにすることで、後輪の駆動力を増やすことができる。

 ボルボが誇るSUV「XC90/60/40」シリーズが専用ボディを用いているのに対して、V60 クロスカントリーはベースをV60と同じステーションワゴンとした。ここは兄貴分の「V90」と「V90 クロスカントリー」と同様の手法。ご存知のように、ボルボはこうしたステーションワゴンをベースに車高を高めたSUVではスバル「レガシィ グランドワゴン」(1995年)などに次ぐ先駆者的グループに属し、最初期モデルは1997年にデビューした「V70 XC」がそれにあたる。

 前述の通り、V60 クロスカントリーはV60から最低地上高にして65mm高い。装着タイヤを18インチ同士(クロスカントリー「215/55R18」、V60 T5 Inscription「235/45R18」)で比較してみると、タイヤ直径はV60 クロスカントリーが25mm大きくなる。つまり、65mm高められた最低地上高は、その半径分の12.5mmが大径化されたタイヤによるもので、残り52.5mmが延長されたダンパーストローク分(厳密にはブッシュも相応に長くなっているはずなのでこの値よりも小さい)との計算が成り立つ(車高は70mm高いので、残る5mmはサスペンションのシムによるものと推察)。

 ちなみに上級グレードのクロスカントリー Proでは装着タイヤが235/45R19となるが、18インチを履くクロスカントリーとのタイヤ直径差は0.3mmと極めて少ない範囲に収まることから、最低地上高とホイールストロークの関係に相違はない。こうして高められた車高や最低地上高、そして増加したホイールストロークは走りにどんな影響をもたらすのか。試乗前、筆者が気になっていたのはV60(比較対象グレードは「T5 Inscription」)から「乗り心地」と「走行安定性」がどれだけ変化したのかという点だ。

■V60 クロスカントリーはかなり魅力的な1台

 試乗したのは上級グレードのクロスカントリー Pro。まずは「乗り心地の変化」だが、こちらはまさしく激変で、筆者好みの滑らかな乗り味になっていた。具体的には延長されたホイールストロークが功を奏していて、たとえば駐車場から公道へ出る際の数cmの段差でもタイヤのあたりをうまくいなしているのが実感できる。併せて自由長を変更したスプリングは最適化されたバネレートとの相乗効果により、40km/h前後でのロードノイズのほか、ステアリングやシートを通じて感じる細かな振動周期にも変化が現れ、音も振動も低減された。タイヤはどちらもコンチネンタル「PremiumContact 6」(サイズは前述の通り)を装着している。

 なお、北欧ボルボに限らず欧州車の多くに共通して見られる傾向として、製造後にざっくり1000~2000km程度の走行を経ていくと足まわりの摺動性が徐々に向上し、本来の乗り心地になっていく。これは過去、筆者が愛車としてきた数台の欧州車でも経験済み。今回の試乗車はこうした取材の機会に合わせて2500kmほど走行した状態であった。

「走行安定性」も高かった。成人男性3名+ラゲッジルームには撮影機材を満載した状態での試乗であったが、高速道路における路面の継ぎ目や大きめの凹みでもフワつくことなく一度でスッと衝撃を吸収し、その後はグッとダンパーの減衰力が立ち上がる。この状況、ドライバーとしては思わず“揺り返し”に身構えてしまうシーンだが、実際にはほぼフラットライドを保ったままあっけなく通過する。最初は抵抗感なくスッと動いて、その後グッと踏ん張る安定した特性は後席に座っていても受ける印象は変わらずで、クルマ酔いしにくいことも確認できた。

 こうしたゆとりあるボディの動きは、サスペンションの主要パーツを上位モデルであるV90 クロスカントリーとかなりの部分で共通化したことの効果でもある。V60と比較して前後トレッドとも最大で50mm広がったが、19インチタイヤ(さらにオプションの20インチタイヤ)でも最小回転半径はV60と同じ5.7mに収まる。取りまわし性能を低下させることなく大径タイヤを履きこなせることは、狭い場所での切り返しが多くなりがちなアウトドアステージでひときわ心強い。

 実用性はV60と変わらずとても高く、ラゲッジルームもV60と同容量の529L(リアシートを倒さない5人乗りの状態)を確保する。さらに最低地上高が高められたことで、乗降性がV60からかなり楽になった。ボディやドア形状に変化はないから、乗り込む際に頭を多少かがめる動作は残るものの、立ったまま腰をずらすだけでスムーズに身体をシートに預けられるようになった。この点は215mmの最低地上高を持つXC60よりも、身長170cmの筆者には良好であると感じられた。

 V60 クロスカントリーは、洗練されたデザインのV60をベースに、専用フェンダーエクステンションや専用意匠のバンパーやグリルを装着し、高められた車高と大径タイヤを特徴とする。車両本体価格にしてざっと50万円のアップだが、V60にはないガソリンターボエンジン+プロペラシャフト式4WDや、専用装備の数々を考えれば適正価格ではないか。

 ウインタースポーツが趣味で、立体駐車場を車庫として利用していることからステーションワゴン(後輪駆動方式)を愛車とする筆者からすると、ステーションワゴンで4WD、かつ先進安全技術群である「intellisafe」を備えながらも、車高は1505mmと多くの立体駐車場に対応するV60 クロスカントリーはかなり魅力的な1台に映っている。

Car Watch,西村直人:NAC,Photo:高橋 学

最終更新:4/17(水) 15:37
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