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『BOSS』CMで振り返る平成史 閉塞感が漂う実社会にどう寄り添ってきたのか?

4/17(水) 8:40配信

オリコン

 1992年(平成4年)に発売されたサントリーの主力飲料『BOSS』。“働く人の相棒”というコンセプトで開発され、CMでは数多くの働く現場や職場を中心に描かれてきた。一方、平成はバブル崩壊から「失われた20年」と言われる長引く不況の時代でもあった。そういった時代背景に対し、『BOSS』のCMはどうユーザーに寄り添ってきたのか? サントリー食品インターナショナルのジャパン事業本部の大塚匠さんに聞いた。

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■バブル崩壊直後に発売、矢沢永吉が“しがないサラリーマン役”を承諾したワケ

 缶コーヒーの歴史は、1960年代にさかのぼる。1969年にUCC上島珈琲が世界初の缶コーヒー『UCCコーヒーミルク入り』を発売して以降、世に広まったとされている。サントリーも70年代から缶コーヒーを手掛けてきたが、売り上げは伸び悩んでいた。

 そこで、どういう人が缶コーヒーを飲んでいるのか見つめなおして開発されたのが『BOSS』だ。発売当時、日本はバブル崩壊後で、「失われた20年」と呼ばれる景気の長期低迷に突入した時代でもあった。大塚氏は、『BOSS』の開発理由について、こう振り返る。

 「当時、缶コーヒーは長距離運転のドライバーや工事現場で働いている方など、いわゆる『ブルーカラー』の方々に飲んでいただいていることが分かった。彼らは自分の裁量で働くため、一見、自由な働き方にも見えるが、一方で孤独な時間も多い。そのときに、缶コーヒーを1本飲んで何か会話をするような、日常の喜怒哀楽に寄り添ったものになれたらと思い、開発しました」(大塚氏)

 ブランドコンセプトは「働く人の相棒」。“いつかは自分もボスになる”という思いを込めて、『BOSS』と命名した。ロゴには、現在ではおなじみの“ボスおじさん”を施した。「対話をするように飲んでもらえたらと思い、人格モチーフのロゴにしました。“ボスおじさん”の表情は、一見、笑っているようにも見えるし、まいったなぁという顔にも見えますよね」(大塚氏)

 『BOSS』のCMは、発売当初から現在に至るまで、クリエーティブディレクターの佐々木宏氏が手掛けている。佐々木氏がCMのトップバッターに起用したのは、歌手の矢沢永吉だ。

 「佐々木さんは、大スターの矢沢さんが“しがないサラリーマン”になってくれたら面白いCMになると思い、オファーしたそうです。ただ当時、矢沢さんはLAに住んでいたため、来日のタイミングで直談判となった。意図を説明すると沈黙もあったようですが、『矢沢、やる』と本人から言ってもらえたそうです。偶然なのですが、普段から矢沢さんは、スタッフに『ボス』と呼ばれていたそうで、そういった縁からも了承していただけたようです」(大塚氏)

 矢沢が、しがないサラリーマンになりきり「まいったなぁ」とつぶやくCMシリーズは、当時、大きな話題となり、約6年間続いた。『BOSS』の売れ行きも販売当初から好調だったという。「現在の缶コーヒー『BOSS』のヘビーユーザーは40~50代。発売当時は25歳ぐらいで、社会の厳しさを知った頃だと思います。一方、時代はバブル崩壊でどん底状態。希望が見えない中、CMでの矢沢さんの姿を見て『矢沢さんも頑張っているなら俺も頑張るか』と共感した人も多かったと思いますね」(大塚氏)

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最終更新:4/18(木) 23:25
オリコン

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