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小学校への教科担任制導入、背景に少子化 働き方改革も

4/17(水) 18:58配信

産経新聞

 17日の中央教育審議会総会で柴山昌彦文部科学相が諮問した教育改革方針。小学校への教科担任制の導入など、従来の義務教育の枠組みを超えた包括的な検討を求めた背景には、少子化で児童生徒数が減少し、集団で学び合う環境が維持しにくくなっているという実情がある。未来の学校はどうあるべきか。教員の働き方改革にもつながるだけに、審議の行方に注目が集まりそうだ。

 「みなさんでチームを作ってください」

 長崎県五島(ごとう)市の福江島にある市立玉之浦小学校。高学年(5、6年生)の体育の授業で先生が指示を出すと、8人の児童は自分たちでグループを決め、それぞれに分かれた。

 同校では新学期が始まり、こうしたグループ活動が増えたという。4月から同じ地区の平成小と合併し、児童数が13人から25人に増えたからだ。さらに玉之浦中とも校舎を共有、小中合同で行う運動会などでは41人が一緒に活動できるようになった。

 「人数が増えて多様な考え方に触れる機会が増えた。子供同士も非常に仲が良く雰囲気も良い。教員にとっても良い効果がある」と高野友一教頭は話す。

 来年度から全面実施される新学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」の実現を掲げ、グループ活動などによる対話型の授業が重視される。だが、児童数が少ないため実践できない学校が各地にあるのが実情だ。

 文部科学省によると、少子化などにより過去10年間で公立小中の学校数が10・2%減少、児童生徒数は9・8%減少した。全国1741市区町村のうち小学校1校、中学校1校しかない自治体が232(13・3%)に上り、「少人数学校は限界にきている」と文科省幹部は打ち明ける。

 しかし学校は地域社会の中心であり、玉之浦小のような統合はなかなか進んでいない。

 こうした中で浮上したのが教科担任制の導入だ。小学1~4年生までは従来通り各自治体が設置する学校で学び、基礎学力の一層の定着を図る。5年生以上は教科担任制として、少人数の場合は複数の自治体が共同で設置する学校で学べるようにし、習熟度別の授業も可能にする。専門性の高い教員が担当する分、授業の創意工夫も進み、英語などでは中学校段階の学習へのスムーズな移行が期待できる。

 小中連携も視野に入れ、中学校の教員が小学生を教えたり、外部の人材を活用したりすることも検討。学級担任制を基本とする小学校教員の1週間当たりの平均授業時間数は教科担任制の中学校教員より多いとのデータもあり、長時間勤務にあえぐ教員の負担軽減など働き方改革にもつなげたい考えだ。

 一方、課題も少なくない。小学校に教科担任制を導入するには、小中高校の学校種ごとに分かれている教員免許制度を見直し、教員配置を大胆に換えていく必要がある。複数の自治体にまたがる学校区では、通学バスなども整備しなければならない。

 新たな学びに対応した教員の指導力向上、そして人工知能(AI)など先端技術に対応した教育改革も求められる中、文科省の担当課では「子供たちが切磋琢磨(せっさたくま)できる学習環境を確保するため、中教審で建設的な審議が行われることを期待したい」としている。

最終更新:4/17(水) 22:25
産経新聞

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