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連続無投票当選の埼玉・横瀬町 なり手不足に危機感

4/17(水) 20:44配信

産経新聞

〈統一地方選・埼玉〉

 16日告示の横瀬町議選(定数12)は前回に続き2回連続で無投票当選となり、深刻な「なり手不足」を改めて印象づけた。急速に進む人口減や高齢化など山積する課題に対し、候補者が処方箋を競い合い、それを有権者が選択する機会は今回も失われた。町議会への関心が薄くなることが懸念される中、誰が「横瀬の未来」を語るのか。現場を歩いた。(竹之内秀介、写真も)

 告示日の16日。町内のあちこちで選挙カーが走り、候補者名を連呼していた。だが、そのボリュームはどこか遠慮気味な印象を受けた。公園を散歩していた男性(71)は「無投票になると分かっているから、力の入れ方も違うのだろう」と皮肉ってみせた。候補者の応援に駆けつけた60代の女性は無投票について「なれ合いみたいになるのは気持ち悪い」とこぼす。

 今回、無投票当選したのはいずれも現職で37~71歳。平均年齢は59歳で、議員のなり手不足は深刻だ。町によると、町議の報酬は月20万1千円で、諸手当を含めると年収約300万円という。

 4期務めて引退した若林新一郎元議員(77)は「自営業や年金受給者でもなければ、議員に専念して家族を養うのは経済的に難しい。だから、有望な人材を見つけても『議員になったらどう』と誘うのは心苦しい」と明かす。

 「本当は出るつもりはなかったんだが…」。11回連続当選を果たした若林清平氏(71)は昨年、心筋梗塞を発症し、一時は引退も検討した。それでも出馬せざるを得なかった最大の理由は後継者不足だ。これまで支持者に何度か町議になるよう声をかけたが、家庭の事情などを理由に断られてしまった。

 16日、無投票当選が確定した瞬間、複雑な表情を浮かべた若林氏。約40年の議員人生を通して連続の無投票当選は初めてだったからだ。「たった1日で選挙が終われば、政策の争点化や論争も起こらず、町政への関心がますます薄れかねない」と漏らす。

 「そもそも議員って何の仕事をしているのか分からない」という町民の声もある中、危機感を抱く若林氏は有権者に関心を持ってもらうため、議会活動報告の義務化などを盛り込んだ議会基本条例の制定を目指すと力説した上で、こう強調する。「町民にとって選択の機会が奪われる無投票は不幸せなことだ。最後の任期と思って後身育成と条例制定に全力を注ぎたい」

 最年少議員の向井芳文氏(37)も、町民との交流の機会を増やし、町ぐるみで議員を育成する必要があるという。「ライバルが増えれば互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、結果として町が抱える高齢化や人口減などの課題に対応できる」と力を込めた。

 人口流出に歯止めがかからず、存続できなくなる可能性があるとされる「消滅可能性都市」に該当する横瀬町。連続無投票を契機に、町内では4年後の町議選で「3回連続」という事態だけは回避し、次こそ審判の場を確保しようという機運が高まっている。

最終更新:4/17(水) 20:44
産経新聞

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