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シリコンバレーの乱─検閲問題や成長戦略めぐり経営陣と闘うエンジニアたち

4/17(水) 9:54配信

The Guardian

中国との関係に抗議してグーグルを退職したシニア・エンジニア

【記者: Cameron Bird, Sean Captain, Elise Craig, Haley Cohen Gilliland, Joy Shan】

■グーグルの元シニア・リサーチ・サイエンティスト、ジャック・ポールソン氏

 中国政府による厳しい検閲ルールに適合させた検索エンジンを開発する「プロジェクト・ドラゴンフライ」について知ったのは2018年8月1日、米ニュースサイト「インターセプト」の報道からだった。その直後、人権問題についての見解の不一致ですでにプロジェクトを外れていたエンジニア2人が、社内向けの投稿で重い口を開いた。そのうち一人は退職した。それが私のアラームを鳴らした。

 TGIFと呼ばれる会議が、毎週または隔週木曜日に開かれる。この会議には、グーグルの共同創業者のラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏、スンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が出席する。参加者は登壇して3人に質問する。「ドラゴンフライ」についての報道後初めてTGIFが開かれたのは、2週間経ってのことだった。

 その時までに私は、条件付き退職願をマネジャーに提出していた。エンジニアは「ドラゴンフライ」 の不快な内容を事細かに知ることになった。出典が中国政府以外の大気汚染に関するデータが出るのを防ぐコーディングを見つけた。「ドラゴンフライ」に関連するリストも見つけた。そこには習近平国家主席やノーベル賞、中国政府に対する批判など多くの事項がブラックリスト化されていた。

 TGIFは米紙ニューヨーク・タイムズの記者が実況ツイートすることで知られている。ブリン氏は「ドラゴンフライ」についてほとんど話さず、実のあることは何も言わなかった。実況ツイートされているという時点で、経営陣はそれ以上の議論を許さなかったのだ。

 私はマネジャーに2週間後の退職を申し出ていたが、同時に会社全体にその内容を開示していた。なぜ「ドラゴンフライ」がグーグルの価値を内部から危うくしているか、自分なりの意見を記した。

 退職願を公表すると、上層部との会議が設定された。議題は情報漏えいへの懸念に尽きた。倫理や人権問題よりも、その方が重要なようだ。最後には、人工知能(AI)研究トップのジェフ・ディーン氏との会議が開かれた。

 私はTGIFで経営陣が答えなかった長い質問リストを携えて出席した。そこで得られた一番ましな回答は、検閲の対象はごくわずかだというものだった。なぜ中国での検閲を容認するかについてディーン氏の主張は、米国でも通信傍受を行うための外国情報監視法(FISA)に基づく令状が請求されるなど検閲が許容されている現状があり、検閲の悪質さは中国に引けを取らないというものだった。その理屈ならばグーグルが米国から撤退するべきだし、そうでなければ中国の状況について文句を言えない。

 会議の翌日、私はパソコンと社員証を返却して、グーグルを去った。

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最終更新:4/17(水) 10:56
The Guardian

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