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10代から翻弄され…日本うんこ学会長が語る「僕がうんこを背負う理由」

4/17(水) 12:13配信

読売新聞(ヨミドクター)

石井洋介 うんこで救える命がある

 医師の石井洋介です。

 消化器外科医としてキャリアをスタートさせましたが、今は横浜市の西側地域を中心に在宅医療を展開する山手台クリニックで院長をしながら、秋葉原にある夜間診療のみに特化したクリニックの共同運営も行っています。

 今、力を入れているのは「日本うんこ学会」という団体の活動です。設立に携わり、代表を務めています。名前は少し怪しげですが、活動の趣旨はとても真面目です。大腸がんを始めとする消化器の病気の早期発見や予防啓発を軸に、

1.正しいうんこの知識を普及させ、国民の大腸健康度の向上を目指す
2.(学校で子供たちが)「先生、うんこに行ってきます!」が自然と言える社会を目指す

という二つの理念を掲げています。

 目標を実現させる一つのツールとして、「うんコレ」というスマホゲームを目下開発中です。排便の報告をすると新しいキャラクターが手に入り、ゲームを楽しみながら大腸の病気についての知識が身につき、病気の疑いがある場合はアドバイスをしてくれる、というゲームです。ボランティアで参加してくれるエンジニアやイラストレーターの仲間たちと制作しています。なぜ医師がゲームを作るのかという話は、次回以降に紹介したいと思います。

 ここまでの話では、うんこの好きな変な医師がゲームを作っているという印象が強いと思いますが、僕が「うんこ」を背負うには理由があります。10代からうんこに翻弄され、生きづらい毎日を送ってきたという患者の体験を持っているのです。

大腸の病気によって不登校に

 僕は高校1年生の時に潰瘍性大腸炎という難病になりました。大腸に原因不明の炎症が起こり、大腸の粘膜に傷が付いてしまう病気です。最近は診断を受ける患者さんの数も増えているので、近くに同じ病気で悩まされている方もいるかもしれません。

 潰瘍性大腸炎は回復と悪化を繰り返します。状態がいい時は普通に生活できるのですが、悪化するとどこにいてもおなかが痛くなり、トイレに駆け込むことになります。そのような状態で高校も欠席が続くと、自分の居場所がないと感じるようになり、不登校になりました。「もう生きる価値もないかな」と落ち込む日々が続きました。

 なんとか高校は卒業しましたが、19歳の時に病状が急変、大量の出血をしました。地域の総合病院で緊急手術により大腸を全て摘出し、人工肛門をつけました。人工肛門とは、便を出すためにおなかに人工的に開けた肛門のことです。おなかの表面に貼るパックの中に便がたまっていき、たまりきったところでトイレに流します。

 主治医から「1度つけた人工肛門は2度と閉じることはできない」と伝えられてからは、その後の日常生活がどの程度不便になるか分からず、不安になりました。

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