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【平成の事件】行き場失う「住人」 川崎簡易宿泊所火災があぶり出した「ひずみ」

4/17(水) 10:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

超高齢化社会の縮図

 曲がり角を迎えた簡宿に代わり、生活保護受給者の新たな受け皿と自立支援策をセットで模索する動きも始まっている。

 「生活困窮者に最初に提供されるのは住宅であるべきだ。住所や住民票がないと仕事も探せず、低廉で質のいい住宅は欠かせない」。貧困問題に詳しい立教大の稲葉剛特任准教授はそう力説する。

 2014年に一般社団法人「つくろい東京ファンド」を設立した稲葉特任准教授は、東京都内に複数のアパートを借りて、生活保護受給者に暮らしてもらう取り組みを実践。ファンドはカフェを運営し、勤労意欲がある人はカフェで働くことも可能という。社会復帰への足掛かりとするため、地域との交流も積極的に進めている。目指す姿は福祉行政と住宅行政の縦割りの解消だ。

 「行政は簡宿に安易に依存せず、行き場を失った高齢者が住み慣れた地域で引き続き暮らせるよう支援していくのが、本来在るべき福祉施策ではないか」と強調する稲葉特任准教授は、こんな指摘も付け加えた。

 「生活保護受給者が多く、福祉ニーズの高い簡宿街は、やがて日本が迎える超高齢化社会を先取りした縮図とも言える。つまりこの先、誰しもが同じ問題に直面する可能性があるということなんです」

 連載「平成の事件」
 この記事は神奈川新聞社とYahoo!ニュースの共同企画による連載記事です。「平成」という時代が終わる節目に、事件を通して社会がどのように変わったかを探ります。4月8日から計10本を公開します。

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最終更新:4/17(水) 17:22
カナロコ by 神奈川新聞

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