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益城の「身代わり」観音が復活 2年の修理終え展示

4/17(水) 9:02配信

西日本新聞

 熊本地震で被災した熊本県益城町下陳にある龍池山千光寺の本尊「木造千手観音菩薩(ぼさつ)立像」が、約2年の修理を終えた。地元では地震の被害が比較的少なく、住民は「観音様が身代わりになってくれた」と感謝する。本震から3年の16日、県立美術館(熊本市)の企画展で、復興の象徴として展示が始まった。

【写真】倒壊した「身代わり」観音

 観音像(高さ約2・7メートル)は県内最大級の仏像で、平安後期から鎌倉後期の作とされる。地震1カ月前の2016年3月に町指定文化財になった。

 下陳地区は約50軒の集落。寺は住民が交代で管理し、境内は子どもの遊び場になり、正月と秋例大祭には住民が集まり「せんこっさん」と親しまれた。

 区長の小路洋一さん(67)は地震当時、せんこっさんの世話役。本震で自宅が全壊し、5日後に寺に駆け付けると、本堂は大きく傾いていた。観音像は倒れて足が折れ、頭部や腕も一部が壊れていた。

 変わり果てた姿に住民は肩を落としたが、誰が言い出したのか「身代わりになってくれたのでは」。2度の最大震度7に襲われ被災者は出したものの、周辺に比べると地区内の被害は少なかった。みんなで手を合わせた。

 住民たちは再興を決めた。住友財団(東京)の助成を受け、福岡県糸島市の仏師に修理を依頼。本堂の再建は、熊本県の復興基金と住民の寄付で賄った。

 カヤの木で作られた観音像の体は、もともと空洞などがあり、もろくなっていた。仏師の浦叡学(えいがく)さん(65)は丁寧に解体し、修理や補強を施した。「何度も修理された跡があり、昔から住民が大切に守ってきたのだろう」と話す。

 修理を終えた姿を目にした小路さんは「どうしてこんなに柔和な表情ができるだろう」と目を潤ませながら「これから100年、200年…。後世に伝え、大事にしていきたい」。静かに手を合わせた。

西日本新聞社

最終更新:4/17(水) 9:02
西日本新聞

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