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STU48の新たな魅力詰まった劇場公演 高い歌唱&ダンス技術&特技生きる

4/17(水) 1:12配信

徳島新聞

 徳島など瀬戸内海沿岸7県を拠点に活動するアイドルグループ・STU48が16日、初めての劇場公演「GO! GO!  little SEABIRDS!!」の初日公演を、広島市の広島国際フェリーポートに停泊している劇場船「STU48号」で行った。メンバーの高い歌唱力やダンススキル、楽器演奏などの特技が生かされ、若手メンバーを積極的にセンターに起用するなど、グループの新たな魅力を引き出した意欲的な構成となっている。(写真はすべてⓒSTU)

 公演冒頭、霧笛や波の音、カモメの声をバックにメンバーのレッスン風景などの映像が流されたのに続き、サロペット姿の公演スタッフが波を模した巨大な青い布で客席全体を覆う。「飛べるよ」「飛んでみたい」という演劇的なせりふを交わすメンバーの声だけが響く中、「瀬戸内の声」の歌唱が始まり、布が外されると、そこにはには白いショートパンツスタイルのメンバーが。波がメンバーを運んできたという粋な演出で、観客は一気に海の世界へといざなわれる。

 そして始まるリード曲「GO! GO!  little SEABIRDS!!」は、歌唱がなくダンスのみの公演用オリジナル曲。今村美月さんをセンターに、磯貝花音さん、門脇実優奈さん、大谷満里奈さんらダンスに定評のあるメンバーが中心となって冒頭から激しいダンスを繰り広げる。なまめかしく腰をくねらせるセクシーな振り付けもあり、清楚(せいそ)なイメージが強いSTU48メンバーの新たな一面を見ることができる。

 続く「フライングゲット」では森下舞羽さんが初のセンターを、「ヘビーローテーション」では門脇実優奈さんがセンターを担当。抜てきに応えてフレッシュながらも激しいパフォーマンスを見せる2人に引っ張られるように、メンバー全員がキレの良いダンスを繰り広げてさながらダンス合戦の様相に。一方、「365日の紙飛行機」では今村さんがセンターを務めて伸びやかな歌声を響かせ、岡田奈々さんや矢野帆夏さんらも加わって歌唱力の高さでも魅了した。

 一般的な公演ではどうしても中だるみすることが多い自己紹介も、「恋するフォーチュンクッキー」をアコースティックギターバージョンにアレンジした楽曲に乗せ、バックでメンバーがダンスを踊る前で行われるため、テンポよく聞ける。メンバーもリズムに合わせて軽快に自己アピールができるように、話す内容や言葉の乗せ方を工夫しているように感じた。

 ここで第2の公演用オリジナルダンス曲「瀬戸内Blue」が投入される。こちらも「GO!  GO!  little SEABIRDS!!」のようにセクシーさを感じるダンスだ。森下さんや信濃宙花さん、中村舞さんら、長身メンバーが舞台映えして見える。

 この公演で最も特徴的なのが第2部だ。第1部はAKB48の楽曲が中心だったが、瀬戸内海にちなんで海をイメージしたTHE BOOM「島唄」や荒井由実「瞳を閉じて」といったグループ外の楽曲で構成されている。「島唄」では瀧野由美子さんがサックスを、「瞳を閉じて」では兵頭葵さんが鍵盤ハーモニカを演奏するなど、メンバーの特技が生かされた演出となっている。

 「街の灯り」は、今村さん、由良朱合さん、岡田さんの美しい歌唱に乗せ、中村舞さんがバレエ経験を生かした美しい開脚ジャンプや10連続ターンを決め、さながらミュージカルの一場面を見ているかのよう。「亜麻色の髪の乙女」では、ウクレレの弾き語りに挑戦した甲斐心愛さんが、天性の明るいキャラクターで演奏ミスも笑いに変えて観客を「心愛ワールド」に引き込んでしまう。

 第3部では「出航」「STU48瀬戸内ver.」「ペダルと車輪と来た道と」「制服の重さ」というSTU48の楽曲4曲をノンストップで披露した後、第3の公演用オリジナルダンス曲「KO・BU・SHI Spirit!」になだれ込む。終盤に来て、この日最も激しいのではないかと思われるハードなダンスだが、メンバーは汗だくになりながらも長髪を振り乱して踊りきった。

 公演の感想発表も自己紹介と同じく「瀬戸内の声」のインストゥルメンタル演奏に合わせて行われるため、中だるみしない。こうして、公演の激しくもある種幻想的な世界観が保たれたまま、本編は終了する。

 アンコールでは「暗闇」「原点」が披露され、最後はメンバーが2手に分かれて元気よく観客に手を振ってお別れ。冒頭と同じく青い布で客席が覆われ、外された時には「波にさらわれて」メンバーの姿はなく、公演名を記した旗だけが、少女たちが全力で駆け抜けた心地よい余韻とともに残るのだった。

 演出を手掛けた「THE CONVOY SHOW」の今村ねずみさんは、AKB48グループ以外の楽曲を起用した理由について「平成から令和へと時代が変わる中、メンバーがリアルタイムではない時代の楽曲を歌うことで生まれるものがあると考えた」と、時代の転換点ゆえに起きる化学変化を狙ったことを説明。公演メンバーは長期間の公演に耐えられる体力や、「何が何でもやる」という意欲を基に選んだとした。

 メンバーの個性を生かした「当て書き」のような演出については「出演メンバーが変われば、演奏やダンスではなく演劇のようなものを取り入れるなど、演出が変わる可能性がある」と話した。

 メンバーの個性に導かれる形で完成したSTU48にとって記念すべき初公演「GO! GO!  little SEABIRDS!!」は、結果的に高い歌唱力やダンススキルが求められるものとなった。今回出演していないメンバーがチャンスをつかむにはこれまで以上に厳しい鍛錬が求めらることになるだろう。同時に、実力重視の人選であるが故に、センター瀧野由美子さんをはじめとしたCDの選抜常連組であっても、公演ではアンダーに甘んじる可能性もあるということだ。

 今村ねずみさんは「メンバーにはまだまだ伸びしろがある」と、今後の成長に大きな期待を示した。メンバーたちが2年間待ち焦がれてようやく手にした専用劇場は、メンバー同士の切磋琢磨(せっさたくま)を促し、グループのパフォーマンスを飛躍的に高める場としてかけがえのない財産になるはずだ。岡田さんが就役式で話したように「本当のスタートラインに立った」メンバーたちの、今後の進化から目が離せない。(R)

最終更新:4/18(木) 20:12
徳島新聞

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