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子供も保護者も主役/横浜金沢V・ルークスの挑戦3

4/17(水) 10:00配信

日刊スポーツ

<週中ベースボール>

少年野球がチーム減、選手減に悩むなか、発足2年で選手5人から46人に急成長した横浜金沢V・ルークス。その理由などを5回にわたって探っていきます。3回目は「保護者」がテーマです。

【写真】6年生の送別記念試合の後、選手とともに円陣を組む保護者

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これまで何度か少年硬式野球のチームを取材したことがある。球場に着くと、お母さん方がすぐに飛んできて、お茶やコーヒーを出してくれる。関係者の座る席には、乾き物や甘いものなどのおやつも用意され、なくなるとすぐに補充してくれる。場内アナウンス、弁当運び、掃除、片付けもお母さん方の仕事だ。

横浜金沢V・ルークスでは強制的な「お茶当番」は置いていない。ある選手の母親が以前所属したチームでの裏話を明かしてくれた。

ある母親 監督、コーチのお弁当を買いに行ったり、食後のコーヒーを出すのは当たり前。誰々のコーヒーには砂糖多めとか、誰々はミルクだけとか、そんな細かいことまで、母親同士で競ったりしたんです。

笑い話ではない。監督やコーチに献身的に接するのが当たり前、まして自分の子供の活躍を願うなら、どこまでも尽くす。母親は「母親同士でどんどんルールや仕事をつくって、がんじがらめになりました」と振り返った。

こうなると親がしんどい。今春卒団した息子を持つ小島歌代さん(41)は、親の負担が大きいことを伝え聞いて、横浜金沢V・ルークスが立ち上がるまで、子供に野球をやらせることができなかったという。

小島さん 小1の時から子供が野球をやりたいと言っていたんですけど、親が大変と聞いて、チームに入れることができなかった。子供には我慢してもらっていました。

お茶当番だけでなく、練習や試合の送り迎え、監督やコーチへの謝礼など、保護者にかかる負担は大きい。澤中貴司監督(50)は以前所属したチームで、こんな話を聞いたことがある。

澤中監督 お茶当番で嫌な思いをした母親が、家でシクシク泣いていた姿をみて、その子は「お母さんがつらいなら僕が野球をやめる」って言ったそうです。本末転倒ですよね。

だから、チーム立ち上げから、いかに親たちの負担を減らすかを考えてきた。「お茶当番」をはじめ、強制的な当番制は敷かず、飲み物や弁当などは大人も含めて各自で用意する。練習場所や試合会場までは基本的に公共交通機関を使い、遠征からの帰りは「チーム最寄り駅」までみんなで一緒に行動する。

横浜金沢V・ルークスでは「少年野球は親子の物語」とし、次の基本精神を掲げている。

主役は子であり親である。子供の頑張る姿を見ることによって親は生活に張りを持ち、子供はそんな親をみてさらに向上心を持つ。

理想は高く。ただ、現実はそう簡単なものでもない。横浜金沢V・ルークスも他の少年野球チームと同じ悩みを抱えている。それは子供の内面の問題だ。(つづく)

◆少年、学童野球のお茶当番 スポーツ全般でかつては練習中に水を飲むことを禁じた時代もあったが、今は小まめな給水が常識になっている。特に真夏の炎天下では、選手が持参する水筒だけでは足りず、追加補給する場合も多くなっている。そのために、多くのチームが主に母親によるお茶当番を置き、水分補給だけでなく、体調不良やケガの応急手当てなどを請け負っている。

それが、負担だとして問題視されたり、逆に入部案内に「お茶当番はありません」と呼びかけるチームもある。一方で輪番制にして、保護者が交代で当番を運営するチームも多い。お茶だけでなく、遠征の配車や会計管理、納会や送別会の運営などを分担して、子どもたちの野球チームを、保護者のコミュニケーションの場所として充実させている。

◆横浜金沢V・ルークス 2017年3月、選手5人でスタート。横浜市金沢区を拠点に活動。月謝は3000円。VはVoyage(大航海)、ルークスはきらめき。子供たちの人生にひと筋の光を射すことができたら、との思いを込めて命名。

最終更新:4/17(水) 10:31
日刊スポーツ

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