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”9割が中絶を選択” 出生前診断を受け、「命の選択」を迫られた夫婦の苦悩

4/18(木) 9:00配信

AbemaTIMES

 染色体の異常により600~800人に1人いるとされる、ダウン症候群。知的障害を抱えることが多く、身体的にゆっくりと育っていくのが特徴だ。

 去年3月に生まれたダウン症の勘介くん(1)を育てるメイミさん(38)は、今でこそ笑顔で成長を見守っているが、出産前には悩み、苦しみ、何度も夫と話し合いを続けた。理由は、妊婦が出産する前にお腹の中の赤ちゃんに異常がないかを調べる検査、「出生前診断」だ。

 かつて、染色体異常を100%の確率で知るには「絨毛検査」や「羊水検査」という方法が用いられたが、1%未満の確率で胎児が亡くなる危険性も孕んでいた。そんな中、2013年に採血するだけで胎児の死亡リスクがない簡易な「新型出生前診断」が登場。出生前診断を受ける人は、この10年間で2倍以上まで増加、2013年4月~2018年9月の間に「新型出生前診断」を受けた人は約6万5000人に上る。

 ただし、親は医療の進歩によって“安心“を手に入れられるようになったのと同時に、“命の選別“という決断を迫られることにもなる。実は出生前診断によって胎児の染色体異常が確定した886人のうち中絶を選択したのが819人と、実に9割以上が中絶を選択しているのだ。

 「産まないという選択をすることは、今後の自分の人生にとってすごく精神的ダメージになるし、次は考えないかなと思った。“この子はよくて、この子は産まない“。そういう考えができなかった」。エイミさんは、お腹の中の勘介くんがダウン症であることがわかってからの苦悩をそう語った。

 出生前診断をめぐっては「新型の検査は中絶を促進する検査だ」「検査を否定することは個人の権利を無視すること」「安易な検査や中絶が増えないか?」というような批判的な意見も少なくない。15日放送のAbemaTV『AbemaPrime』は、それぞれの決断を下した夫婦の話を聞いた。

■「幸せ」と話す妻に、不安が拭えない夫

 妊娠中に胎児に異常がある可能性を指摘されたYさん(38)は、出生前診断「羊水検査」を受けた結果、妊娠19週で胎児がダウン症だと診断された。「出生前診断の存在も知らなかった。検査した方がいいと言われて、もし異常が見つかった場合は産めないんだろうな、というくらいの軽い気持ちで考えていたので、その先にどういう未来が待っているか、全く想像ができなかった」。

 人工妊娠中絶手術が許されているのは22週未満まで。わずか3週間で、産むか、産まないかという決断を迫られた。胎動を感じ、愛情が芽生え始めていたというYさん。「自らの手で命を絶つということは考えられなかった。精神的なダメージが大きいと思ったし、罪の意識を一生背負っていくのだろうなと」。

 しかし、夫妻の意見は異なっていた。産みたいと主張したYさんに対し、夫は医療費の問題など、経済的な理由から反対した。「奥さんは胎動を感じて母性を感じ始めていた。奥さんも産まないんだろうなと思っていたのが変わっていった。しかし、どれくらい育てにくいのか、大きくなった時に自立できるのか、全然分からなかった」(Yさんの夫)

 Yさんはそれでも諦めたくないという一心で情報を集め、夫を説得。何度も話し合い、最終的にはYさんの意見を尊重する形で出産を決断した。しかしYさんの夫は「カウンセラーの方の話を聞きに行ったり、ダウン症の子どもを育てている方の話を聞いたりした。それでも平行線が続いていた。奥さんが頑なに中絶することは考えられないというので、さすがに無理強いできない。結局、男性側が意見を突っぱねたら悪者になるだけなので、選択肢はない。離婚するか、産むかの二択だと思った。それくらい覚悟を決めていると言われてしまうと、もう選択肢がないというのが正直なところで、不安が払拭されたわけではなかった」。

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最終更新:4/18(木) 9:00
AbemaTIMES

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