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<北朝鮮>朝中関係に異変発生? 中国が金正恩政権を突然の締めつけ 貿易監視徹底

4/18(木) 5:10配信

アジアプレス・ネットワーク

◆密輸は徹底取り締まり

北朝鮮の貿易会社が悲鳴を上げている。中国当局が、3月に入ってから通関検査と密輸取り締まりを格段に厳しくしたことで深刻な打撃が出ている。北朝鮮当局者からは、中国の圧力強化に戸惑い、関係悪化を心配する声が出ている。(カン・ジウォン/石丸次郎)

【関連写真を見る】  最大の密輸拠点の恵山市内部撮った!(7枚)

中国吉林省で北朝鮮貿易を担って来たキム某氏。アジアプレスの中国人スタッフと古くからの知り合いだ。彼は、布地を北朝鮮の咸鏡北道羅先(ラソン)市に送って衣料品を委託生産してきた。本来は国連による経済制裁違反なのだが、中国側税関と話をつけて、繊維製品以外の品目に偽装して輸入してきた。ところが3月から税関検査が厳格になり搬出が不可能になった。

キム氏は製品を中国に持ち出すために、北朝鮮側の業者と相談して鴨緑江上流からの密輸を計画した。キム氏は車両2台分の衣料を両江道恵山(ヘサン)市に回して待機した。この地域では、中国の国境警備隊を買収できるからだ。この一年、朝中国境1400キロで、もっとも大々的に密輸取引が行われている場所だ。

しかし4月中旬になっても、キム氏は一枚の衣料品も受け取れないまま待機が続いている。国境警備隊がまったく相手にしてくれず、密輸業者が動けずにいるからだ。

鴨緑江沿いで長く合法・非合法に対北朝鮮貿易をしてきた吉林省の貿易会社の幹部も、不振を嘆き、次のように述べる。

「夜間は鴨緑江のそばにも近づけない。道が封鎖され、貨物を積んだ車両はすべて検査されて北朝鮮産品が見つかればすべて押収だ。密輸に関連した者は拘束までされている。4月9日には、鴨緑江で北朝鮮にボンゴ車と自動車関連用品を送ろうとしていた中国の業者が現場で逮捕され、ブツは自動車ごと押収された。国境は殺伐としている」

◆民間人の手荷物まで厳重に検査
北朝鮮側はさらに深刻なようだ。

当局の庇護の下で「国家密輸」を担ってきた貿易会社の一つに「白頭密林会社」がある。鴨緑江上流に位置する両江道恵山(ヘサン)市に拠点を置く。

「『白頭密林会社』は、制裁で禁輸になった自動車と付属品の密輸を手掛けてきた。ところが最近になって、中国側業者が、『統制が厳しすぎて物資を送れない。待機せよ』と連絡してくるばかりで、お手上げ状態だ。『国家密輸』の現場には、北朝鮮の税関職員が立ち会って監督するのだが、モノが動く気配すら見えないため、撤収してしまった」

密貿易事情に詳しい恵山市居住の取材協力者は、このように伝えてきた。

中国当局の締め付けは貿易だけではない。中国を訪れる一般人の荷物にも制裁基準を厳しく適用するようになった。恵山市の取材協力者によれば、親戚訪問で中国に入国しようとする北朝鮮人に対し、中国税関が「帰国時に電気製品は一切を持って行くことはできない」と事前に通知しているという。

中国への親戚訪問は、数年に一度、しかも相当な金額を当局に納めないと許されない。そのため、訪中が実現した人は、親戚や知人に頼んでできるだけ多くの荷物を北朝鮮に持ち帰ろうとする。ところが中国税関は、個人の携帯品も細かくチェックするようになった。

「税関検査がどれだけ厳しくなったか。中国の親戚訪問した知人は、親族が準備した古着などの荷物12個のうち10個が通関できず、なんとか2個だけを持ち帰ったと言っていた」
という。

関係者の話を総合すると、中国による圧力が目に見えて強まったのは、2月末のハノイ朝米会談決裂後である。中国の「突然の変心」に、北朝鮮の幹部や貿易業者の間で、戸惑いと動揺が生じている。取材協力者は次のように述べる。

「いったい何があったのかと幹部たちは当惑している。米国の力が強すぎて、中国は言いなりなのではないか? あるいは北朝鮮と中国の関係が突然悪くなったのか? 米国よりも中国の方が恐ろしい、結局、中国は我われの側ではないのだ…こんな話を幹部らがしている。上の方でも不安が広がっているということだろう」

←クリックして拡大 最大の密輸ポイントの鴨緑江上流域

最終更新:4/19(金) 18:41
アジアプレス・ネットワーク

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