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「地獄」から蘇った秘湯がある。江戸時代から続く老舗は、どう復活したのか

4/18(木) 18:35配信

BuzzFeed Japan

復旧には10億円

復興の道筋は平坦ではなかった。

東京五輪の影響で建材費は高騰。熊本では震災後の人手不足もあいまって、復旧には10億円の費用がかかることがわかった。

補助金などを利用しても、3億円近くの自己資金を用意しないといけない。

「やめるか、がんばるか。毎日シーソーゲームみたいな感じで、ずっと悩み続けてきました」

業者との契約がまとまらず、くじけそうになったことも何度もあった。しかし、リピーターやSNS上の応援で、心が動いたという。

さらにその気持ちを後押ししたのが、「歴史」だ。

「片付けをしているなかで、昔の石垣や、沼地を改良した跡など、先祖たちの苦労が見えてきたんです」

「長い間ここに、多くの人たちが癒しを求めて通い続けてきたということも、改めて理解ができた。これを絶やすわけにはいかないんだ、と思えました」

再開初日に噴火も

本震から3年目となる4月16日。ついに、日帰り営業がはじまった。

もともと「清風荘」だった名前からは、これ以上の水害に見舞われないよう、さんずいを取ることにした。

「ゼロから立ち上がる。名前を変えてでもやり直すという、意気込みです」

まず復活した名物「すずめの湯」では、若い世代も来やすいように清潔感のある建物に作り変え、湯浴み着や水着を着用して入る北欧式のスタイルを取り入れた。

ただ、こんなこともあった。初日、奇しくも阿蘇山がごく小規模な噴火を起こしたのだ。河津さんは笑う。

「阿蘇の人々は何千年も昔から、自然と折り合って生きてきた。DNAに刷り込まれてるんですよ」

「今回の地震も、阿蘇の歴史の中でみたら、大したことがないんだと受け止めるしかない。つらいけれど、ね」

目指すのは次の200年

敷地内では、いまも工事が進む。震災から4年目、来年4月のフルオープンを目指しているという。

いままでは「震災」を理由にやめることもできたかもしれないが、復活をしたこれからこそが正念場だ。それでも諦めるつもりはない。

「せっかく復活したのだから、目指すのは次の200年ですよ」

若い人から老人まで。お金持ちから、そうではない人まで。怪我をした人から、心を患った人まで。

誰もが立ち寄ることのできる、「みんなのお風呂」を続けていきたい、と河津さんはいう。

「私たちが大きく傷ついた経験をしたからこそ、それを生かしたいんです。つらくなったり、しんどくなったりした人を癒すことのできる場にしていきたい」

「もうひとつ。日本では、またいつか必ず災害が起きて、私たちと同じような経験をする人が必ずいる。私たちがその人のためになれたとき、僕らの復興は終わるのだと思っています」

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最終更新:4/18(木) 21:36
BuzzFeed Japan

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