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フェラーリ・ディーノを改造!?│F40ベースのV8エンジンを載せる

4/19(金) 19:15配信

octane.jp

ディーノを改造した理由

そうした中で写真の車は誕生した。フェラーリがジュニア版としてディーノ206GTを発表したのは1968年のことだ。160bhpの2.0リッターV6エンジンを搭載し、製造はわずか152台だった。これを192bhpの2.4リッターにアップグレードした246GTが1969年に誕生し、1971年にタルガトップのGTSが続いた。フェラーリのバッジを付けることのなかったこれらのディーノが、フェラーリV12スーパーカーより下のカテゴリー、つまりポルシェ911に代表されるスポーツカー市場をターゲットとしていたのは明らかだ。しかし製造台数では、246GTが2295台、GTSが1274台であるのに対し、100万台を超えて今も増え続けている911とは比較にならない。

ピニンファリーナのレオナルド・フィオラヴァンティが手掛けたディーノ206GTのデザインは、数あるフェラーリの中でも随一といわれる美しさだ。コレクターにとって価値が高いのは、ボディもエンジンブロックもアルミニウム製の206だ。後発の246はスチール製ボディと鋳鉄製ブロックで重くなり、ホイールベースも60mm長いが、32bhpの出力向上によってスピードでは上回る。

ディーノは50:50の重量配分を達成し、ダブルウィッシュボーンの独立式サスペンションと4輪にディスクブレーキを擁し、ラック&ピニオン式ステアリングを備える。その上ルックスも申し分ないのだから、優れたスポーツカーの条件がほとんど揃っている。ただ、唯一足りないのがパワーだ。

そこを解決したのがケビン・オルークである。サリー州でケビンが営むモトテクニークは、40年にわたってイギリス屈指と認められているフェラーリスペシャリストだ。ケビンはエンツォやF40など数多くのフェラーリを修理・レストアした経験を持ち、手掛けた250 GTOは過去に『Octane』の表紙を飾っている。

特別なディーノを造り上げた経緯をケビンに聞いた。「もう何年も前に、私は素晴らしいディーノを所有していました。トップクラスのコンクールでいくつも賞を取り、申し分のない車でしたが、できることはやり尽くしたので売却しました。当時、ディーノはそれほど高額ではなかったので、レストアするつもりで、もう1台購入しました。しかし結局は12年を費やして自分好みの仕様にモディファイし、2015年に最初のディーノV8が完成しました。フェラーリ328のV8エンジンと5段ギアボックスを搭載し、出力は300bhpです」

「経験上、2.4リッターのディーノで実際に160bhp以上の出力を発揮する車は1台もありません。それを300bhpにしたのですから大幅な向上ですが、ディーノのシャシーはちゃんと対処できます。補助として、オープンカーのGTSにロールケージを組み込み、360モデナのブレーキを装着しました。その挙動は非の打ち所がありませんよ。この車でヨーロッパへスキー旅行にも行きましたが、アルプスのアップダウンも軽々とこなすし、なにより速いんです」

ケビンのディーノV8に目をとめたのがロサンゼルスの宝石商でフェラーリコレクターのデビッド・リーだ。デビッドはスピードに定評のあるフェラーリはすべて所有しているが、ケビンのディーノに惚れ込んで、自分にも1台造ってほしいと依頼した。そしてロサンゼルスから、エンジンとトランスミッションを抜いたGTSをモトテクニークに送って寄こしたのである。こうして新プロジェクトがスタートした。

今回ケビンは、フェラーリF40のアルミニウム製エンジンブロックを調達し、2.9リッターから3.6リッターにボアアップした。また、348の4バルブヘッド(ターボのF40よりバルブが大きい)と、燃料噴射装置付きのフェラーリ製スロットルボディ、フライ・バイ・ワイヤ式スロットル、チタン製コンロッドと特注のクランクシャフト、F40式のラジエターと冷却ファンを用意した。そして3000時間に上る作業(プラス設計を練る長い時間)の末に完成したのが、最高出力400bhpを誇るこのフェラーリ・ディーノV8である。

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最終更新:4/19(金) 19:15
octane.jp

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