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楽天が目指すバルサ化のキーマン。ブスケッツ2世、サンペールの本当の活かし方とは?

4/19(金) 18:03配信

VICTORY

サンペールが活躍する鍵は、日本流の「切り替え」

キーワードは「切り替え」だ。日本ではよくサッカーに4つの局面があると言われる。「攻撃」と「守備」、さらに「攻撃から守備への切り替え」と「守備から攻撃への切り替え」がそれぞれの間に挟まって、繰り返すことでゲームが成り立つと考えられることが多い。
ボールを持って攻めて、奪われたら切り替えて、守って奪い返して、もう一度攻撃に切り替えてゴールを目指す。この流れがループすることによって、90分間が構成されていくというわけだ。確かにシンプルに言い表せば、まさにその通り。おそらく多くのチームが攻守の間の「切り替え」を意識しているし、「今は攻めている」「切り替えなければいけない」「今は守っている」という意識が頭の中にありながらプレーしているだろう。
ところが、バルセロナをはじめ欧米における「切り替え」の概念は、日本と違うように感じる。例えばS・サンペールが6歳から所属してきたバルセロナでは、試合の中でボールを握っている時間が長く、支配率が70%近い数字を記録することも珍しくない。おそらく世界屈指のタレントを輩出してきた下部組織も同じような展開が多いだろう。
もちろん彼らにも「切り替え」の瞬間は存在する。そもそもボールを失う回数も少ないが、かつてバルセロナを率いたジョゼップ・グアルディオラ監督は選手たちに奪われたら「3秒以内」に奪い返すよう要求した。
ショートパスをつないで崩すため選手間の距離も近く、多くの場合ゴール近くでプレッシャーをかけられる状態のため、失ったボールを即座に奪い返せれば、相手が攻めに転じようとした瞬間が最も大きなチャンスになるからだ。
とはいえボール奪取に3秒以上かかってしまうこともあるし、奪った場所やシチュエーションしだいではチャンスになりにくい場合もある。バルセロナの選手たちは、そうなったら一度ボールを最終ラインやGKまで戻して、じっくりと組み立て直す。
ここが日本との違いでもある。全てのチームが一概にそうだとは言えないが、ボールを失ったら「切り替え」のフェーズに移って「守備」をし、奪った瞬間にもう一度「切り替え」て、今度は頭の中が「攻撃=ゴールに向かうこと」となって、あわよくばリスク無視とも取られかねない無謀なアタックを試みる場面も散見される。それはトップリーグであるJ1でも例外ではない。
もちろんカウンター志向のチームがボールを奪った瞬間にゴールに一直線、というのは理解できるが、神戸はクラブをあげて「バルサ化」を掲げており、ポゼッション志向の強いチーム作りをしてきた。
バルセロナにもボールを奪われた際の「切り替え」のフェーズはあるが、日本のそれとは考え方が違っている。おそらく彼らにとってはボールを取り戻しても「切り替え」の状態が続いていて、一度全体を整えながら相手を自陣に押し込んで、そのうえで引きつけて陣形を崩して、重要なポジションにパスが入った瞬間が「切り替え」の終わり。そこからが本当の意味での「攻撃」なのだ。
整理すると、彼らには「攻撃」と「切り替え」しかない。あくまで「守備」は攻撃を続けるための手段の一部であり、そうなるよう設計されているべきものだと考えることもできる。このやり方が体にも頭の中にも染みついたS・サンペールは思考と実行のプロセスが全く違い、慣れない日本のサッカーに戸惑っているように見える。

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最終更新:4/19(金) 18:36
VICTORY

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