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楽天が目指すバルサ化のキーマン。ブスケッツ2世、サンペールの本当の活かし方とは?

4/19(金) 18:03配信

VICTORY

イニエスタと比較するのはナンセンス

イニエスタは次元が違った。彼が来日した当初、神戸の日本人選手たちは「イニエスタはうますぎるから、僕たちも成長しなければいけないけれど、自分たちにある程度合わせてくれるのではないか」と口を揃えて話していた。実際、そうなった。世界最高のマエストロは自らの強みや特徴を生かしながら、日本のサッカーに適応する絶妙なバランスを見い出し、神戸の攻撃を組み立てからフィニッシュまで一手に担う大黒柱となっている。
S・サンペールもバルセロナ出身のピボーテらしさは随所に見せている。「守備が緩い」と指摘されてはいるが、もともと体と体をぶつけるようなプレーは非常に苦手で、大怪我を負ってきたキャリアも多少は影響しているかもしれない。だが、相手がボールを保持している際のポジショニングは秀逸で、ボールホルダーの視線の先に見えているはずのゴールに近づくために重要なパスコースは、だいたいS・サンペールが立っていて消されている。
常に首を振って周りの状況を把握しながら、行動範囲こそ広くないものの、動き回るチームメイトたちの穴を埋めるようなポジショニングで守備を助けている。相手選手とぶつかりあってボールを奪ったり、ギリギリの場面で足を出したりすることが少ないことで守備の貢献度が低いように思われがちだが、彼のような守り方もあるのだ。
ただ、先述したようにクリムゾンレッドの背番号6が苦しんでいるのは「切り替え」の局面だ。神戸の選手たちはボールを奪うと、いち早くイニエスタに預けて前進しようとする。前線の選手も動き出すので、それに応じてチーム全体がゴールに向かっていくが、ミスも多く頻繁に攻守が入れ替わって、自分たちのゴールを守るために無理な対応を強いられることもしばしばある。

パス成功率は驚異の97%

S・サンペールからすれば、「もう少し落ち着いて1タッチや2タッチを使ってショートパスを回しながら相手を押し込んでいけばいいのに」と思っているかもしれない。実際、彼は最終ラインからパスを引き出そうという動きを繰り返し、ボールを持ったセンターバックに近づいてみたり、あるいは自分にマークがついていればそれを引き連れたままポジションを上げて、センターバックが持ち上がるスペースを作ったり、細かくプレーを調整している。
実際、パス成功数と成功率は非常に高い数字を記録している。初先発だったガンバ大阪戦では75分プレーして53本のパスを通し、成功率は89%。初めてのフル出場となった松本山雅FC戦ではパス成功81本、成功率91%だった。そして最新のサンフレッチェ広島戦は74分のプレーでパス82本を通し、成功率は驚異の97%をマーク。試合をこなすごとに徐々に持ち味を発揮できるようになってきてはいる。
バルセロナで輝きを放つセルヒオ・ブスケッツも、足が速いとは言えないし、体がぶつかり合うような守備はそれほど得意ではないが、パスによる組み立ては世界屈指のレベルにある。「ブスケッツ2世」とも言われたS・サンペールも背格好は違うが、プレーには似た特徴を持っている。ポテンシャルを引き出せれば、神戸の核にもなりうる逸材だ。すでにパスコース選びなど判断力と判断速度は非常に高いものを示しているのだから、生かさない手はない。
もちろん彼自身が頻繁に攻守が切り替わり、「スピードのある」日本のサッカーに馴染む必要はあるが、もし神戸が「バルサ化」を掲げてS・サンペールという才能を使い続けながら強くなろうとするのであれば、全体の構造を見直して、より持ち味を活かしやすいチーム戦略に移行していくべきだ。周りの選手たちのマインドを変えていく作業も必要だろう。


折しも神戸は昨季途中からチームを率いていたファン・マヌエル・リージョ監督の退任を発表し、吉田孝行監督の再就任を発表した。2度目の挑戦となる新指揮官は、S・サンペールをどうチーム戦術の中に組み込んでいくだろうか。「切り替え」の概念を入れ替えて環境さえ整えられれば、24歳のピボーテはこれまで以上の力を発揮してくれるはず。イニエスタやダビド・ビジャら、他にもタレントは豊富なだけに、その先にはJリーグのレベルを超えたチームの完成を見ることができるかもしれない。

VictorySportsNews編集部

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最終更新:4/19(金) 18:36
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