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スゴ腕エコノミスト「靖国神社の桜」が示唆する日本の景気動向

4/19(金) 8:40配信

MONEY PLUS

「下方への局面変化」で踏みとどまるか

そもそも、にわかに「景気はすでに後退局面ではないか」という見方が浮上したのは、鉱工業生産指数などの悪化を受けて、1月分の景気動向指数が弱かったためです。

1月分一致CIの前月差が大幅下降になりました。そして、7ヵ月後方移動平均も下方修正の条件を満たしました。機械的な基調判断は「足踏み」から「下方への局面変化」に下方修正されたのです。

「下方への局面変化」は、事後的に判定される“景気の山”がそれ以前の数ヵ月にあった可能性が高いことを示す判断です。もう一段階、判断が下方修正されると、景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」になります。

「悪化」になる条件は、(1)一致CIの3ヵ月後方移動平均が3ヵ月以上連続して下降すること、(2)当該月の一致CIの前月差が下降すること、の2つを満たすことです。2月分速報値では、一致CIの3ヵ月後方移動平均が4ヵ月以上連続して下降したのですが、一致CIの前月差が上昇だったので、「下方への局面変化」で踏みとどまりました。

4月分になると、一致CIの前月差がよほど大幅な下落でなければ、非常に弱かった1月分が抜けるので、3ヵ月後方移動平均は上昇に転じることが見込まれます。3月分で一致CIの前月差が下降にならなければ、「悪化」への下方修正は回避され、景気後退説が弱まることになるでしょう。3月分の製造工業生産予測指数の前月比がプラスなので、その可能性は大きそうです。

東京の桜開花が早いと景気後退にならず

ところで、桜の開花の時期と景気局面には実は密接な関係があることを、皆さんご存じでしょうか。気象庁は1953年から「生物観測調査」を実施しています。その調査項目の中に、全国各地の桜の開花日と満開日があります。

気象庁が観測している東京の桜の標本木は、靖国神社の桜です。東京の桜の開花日は、平年では3月26日。現在の平年は1981年から2010年の30年間の平均です。ちなみに、1つ前の平年は10年前の1971年から2000年の30年間の平均で、東京の桜の開花日は3月28日でした。

靖国神社の桜は景気の動きがよくわかるようです。東京の桜の開花日が平年より5日以上早い3月21日以前だった年は、桜の開花時期が景気後退局面になったことは一度もありません。

「生物観測調査」が実施された67年間(1953~2019年)で東京の桜の平年開花日3月21日以前に開花した年は14回あります。一番早かったのは2002年と2013年の3月16日。次の早い開花第3位は2018年の3月17日です。第4位は2004年の3月18日。第5位が1966年など4回あった3月20日でした。

今年の東京の桜の開花は3月21日になりました。歴代9位タイです。昨年の3月17日より4日遅かったのですが、平年の3月26日より5日早かったのです。

日本人は毎年、桜の開花を待ち望んでいます。桜の開花が早いと、何となく気分もウキウキしてきます。消費者心理にプラスに働くようです。

また、実際に消費支出にも好影響を与えます。開花が早い年は3月の気温が高い傾向があり、春物衣料が早めに買われ出します。なかなか桜が咲かずに寒い日が続いていると、冬物をいつまでも着用し、春物を買う必要があまりなくなります。

加えて、日本人は桜が大好きです。開花後は花見に出かけ、桜を眺めながらの宴会で盛り上がります。お花見目的の旅行などへのニーズも大きいものがあります。これが満開を過ぎて散るまで続くため、その間が長ければ長いほど、景気にはプラスに働くことになります。

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最終更新:4/19(金) 8:40
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