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Maison book girl、悲しみの物語の果てに見えた希望 全国ツアーファイナル:レポート

4/19(金) 18:10配信

MusicVoice

 Maison book girlが14日、東京・昭和女子大学 人見記念講堂で全国ツアー『Maison book girl tour 2019 spring』のファイナル公演「Solitude HOTEL 7F」を開催。同ツアーは、3月16日の福岡DRUM SON公演を皮切りに全国5カ所5公演をおこなった。ファンにとってお馴染みのライブシリーズ「Solitude HOTEL」の第7弾となることから「Solitude HOTEL 7F」と題し、4月3日にリリースしたシングル「SOUP」収録曲「鯨工場」など全18曲を披露し観客を魅了した。【取材=長澤智典】

■音楽がシャワーのように降り注ぐ

 ここに記したレポートは、筆者が、この日の公演を観ながら勝手に夢想していた物語である。夢の世界で戯れる4人の少女たちの姿を観ながら、自分の妄想のスクリーンに映し出していたライブの感想文みたいなもの。そこを踏まえて読んでいただきたい。この解釈、間違っている可能性はきわめて高い。だったら書くなと突っ込まれそうだが。まぁ、そこは察してもらいたい。あくまでも、一つの見方。勝手なもう一つの夢物語として受け止めていただけたら幸いだ。

 そこは、小さな星空が無数に輝く夜の世界。その光はとても小さく、大きな闇に吸い込まれそうだ。その黒い闇の世界から息を吹き返すように、黒い装いを身にまとった4人は舞台の上で<長い夜が明けてゆく>と、「長い夜が明けて」を歌い踊りだした。心を優しく揺らすワルツの調べ。少し火照った気持ちのまま、少女たちは小さな部屋(舞台)の中、華麗に舞い踊りだす。闇に抱かれることへ心地好さを覚えるように…。その闇の先にある光へ憧憬を抱くように、4人は美しい調べと瞬くストロボライトの光に照らされながら自分がここにいる意味を探していた。時を忘れるようにワルツに乗せて歌い踊る少女たち。そんな彼女たちが身を預けた音楽を遮るように、強い雨の音と轟く雷鳴が、瞬く光と重なるように闇の世界を直撃した。もうすぐ、長い夜が明けようとしていたはずなのに…。

 いつしかそこは、夕焼け景色が広がる巨大な草原の地へと塗り変わっていた。少女たちは<それは夢じゃないの>と「狭い物語」を歌いながら、ふたたび繰り返される夢の物語の住人として、互いに身体を重ねるように、お互いの手を触れ合うように想いを結びながら、ふたたび落ちていく暁の風景に身を預けていた。

 闇が支配する空間の中、激しく瞬くストロボライトの輝きが意識を酩酊させる。揺れる意識をつんざくように流れた重い弦楽の音色。いつしかそこは蒼の闇が広がる世界へ様変わっていた。「レインコートと首の無い鳥」を歌う4人の背景には、ドロッとした蒼い雨が渦巻くように降り注ぐ。そこへ時おり刺し色として赤い雨が色を塗り重ねていた。それはまるで、心がどんどん濁っていく様を映し出した映像のよう。そんな病んだ心模様を映した映像を背に、4人は意識を白濁させ、重厚な演奏に身を預けては、心地好くステップを踏みながら歌と戯れていた。

 少しの光を抱きながら弾む「rooms」の調べに身を寄せた4人は、黒(闇)と白(光)が交錯する世界の中、歓喜の想いへ浸りながら<安心していいよ 全部無くなるの>と歌い出した。彼女たちが求めていたのは光に包まれた世界? それとも…。はしゃぐ4人の気持ちを濁すように、ふたたびストロボライトが激しく瞬きだした…。

 大きく呼吸をするごとに、その空間と4人の表情、そして歌声に華やかさが増していく。彼女たちは、「十六歳」を介し<ただ願っているの 出口を探して>と明るい表情を魅力に歌い出した。跳ねる演奏に合わせスキップするように、<愛されたいとか思ってもいいの>と歌いかける。とても心地好く温かさと光を抱く楽曲だ。いつしか心も華やいだ気分に包まれていた。

 優しく弾むヴォイオリンの音色に導かれ流れたのが、「faithlessness」。おもちゃ箱をひっくり返したら、気持ちがわちゃわちゃと騒ぐ音楽が止めどなく溢れだしたような気分だ。気持ちがどんどん膨らんでいく。なのに、彼女たちは<裏切られて 裏切るの>とネガティブな感情を、あえて作り笑いを浮かべるように明るく歌いかけていく。人はあきらめと希望二つの想いを交錯させながら現実を長らえてゆく。そうやって痛む心ではしゃぐことが生きる術だと言うように。巨大な病棟の中の、小さな白い部屋に隔離された中で、小さな自由を謳歌していく彼女たちが笑顔でいれる理由が、そこにあるとでも言うように…。

 彼女たちの宴は終わらない。大地を揺さぶるような音を上げて駆けだした躍動的な「karma」に身を預けた少女たちは、その小さな空間の中で思いきり走り続けていた。ここは夢の世界。何をしてもいつかは覚めるはず。だったら、闇を呑み込む勢いで騒ごうよ。きっと何もかも、夢の中なら許してくれるはず…そう信じて。そんな無邪気に戯れる彼女たちの姿を、ふたたびストロボライトが照らしだした。 

 黄金色の輝きが眩い世界を描き出した。4人が「snow irony」を歌い踊りだすと同時に広がったのは、キラキラとした光と音楽がシャワーのように降り注ぐ巨大なダンスホール。今はただ、華やかな宴に身を預け、闇に苦しむ感情をすべて解き放ち踊りはしゃごうじゃないか。とても華やかな空間だ、カラフルな音符の雨がどんどん身体を輝かせていく。それまでの闇に縛られた心が嘘のように、今は心騒ぐままに歌い踊り続けていたい。

 ストロボライトの光と高鳴るクラップ音。その音に合わせ、少女たちの姿を熱い眼差しで追いかけていた観客たちも、同じよう手拍子を打ち鳴らしだした。スリリングかつダークさも抱いた「bath room」に導かれた少女たちは、いつしか病棟を抜けだし、深い森の中へ足を踏み入れていた。演奏に合わせ、無邪気に森の中を駆けめぐり、はしゃぐ彼女たち。それは束の間の自由。いや、少女たちはこの深い深い森を駆け抜け、繋がれることのない本当の自由を求め彷徨っていた。その力強いクラップ音へ導かれるように走りながら…。

 身体を刺激するエレクトロなビートが響き渡る。「lost AGE」が、ついに昇る光を導き出した。力強く歌う4人の背景には、輝きを放ちながら空へ昇る丸い球体が映し出されている。時に、闇の世界へ暗転しながらも、それでも輝く光の景色が彼女たちを未来へ連れ出そうとしていく。

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最終更新:4/19(金) 18:10
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