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【その壁を超えてゆけ】プロレスラー大谷晋二郎、いじめ撲滅のために闘う

4/20(土) 14:00配信

日刊スポーツ

父は過激な塾を経営

大谷は時に子どもたちを「子ども先生」と呼ぶ。「子どもから教えられることいっぱいあるんですよ」。子どもに力いっぱい言葉をぶつけ、逆に全身で子どもを受けとめる。だから、どこにいっても大谷は子どもに愛される。そのルーツは父にあった。
大谷家は代々続く教育者一家だ。昭和20年(1945年)生まれの父裕明さんは、74年に山口市内に開いた英語塾「中央セミナー」を45年間変わらず続けている。畳に長机を並べた寺子屋スタイルで電話番号の下4ケタは「4594(しごくよ)」。宿題を忘れたり、遅刻すると、押し入れや天井に入れられ、時には山口駅まで走る罰ゲームを課せられる過激な塾だ。それでも大谷先生を慕い、顔を出す卒業生は後を絶たないという。
「『俺は勉強だけでなく、人生を教えているんだ』と言うんですよね。最近うちのおやじは僕の講演を聴きに来たりしてくれるんですが、『やっぱりお前も大谷家の血引いているよな』と、言われます」
プロレスラー大谷にも、子どもに生き方を教える教育者としての血が通っている。

「顔面ウォッシュ」さく裂

3月31日、毎年春に行う靖国神社での記念大会。大谷はその数日前に訪問した小学校の生徒からもらった手作りベルトを巻いて登場した。ゼロワンの相棒高岩竜一、ゲスト参戦した先輩藤波辰爾と組む6人タッグ戦。コーナーに敵を追いつめ、何度も相手の顔を足で蹴る必殺技「顔面ウォッシュ」がさく裂すると会場の盛り上がりは最高潮に達した。満開の桜の下、子どもたちが大きな声で「オオタニー、オオタニー」と叫んでいた。勝利し、マイクを持った大谷は感極まった。
「藤波さんには及びませんが、僕もプロレスの世界に入って27年がたちます。でも、なんなんだろう。これだけ長くプロレスやってるのに、試合終わった後、いつもこみ上げてくるんだ。プロレスっていいなぁ。プロレスって最高だなぁ。そんな思いが、何年たっても試合後にこみ上げてくるんです」
ゼロワンの客席はいつも埋まっているわけではない。「苦しくない時代はなかった。順風満帆な時はなかった」と大谷は言う。その中で、いじめ撲滅運動は大谷らゼロワンのプロレスラーの意地であり、光でもある。
この技の一発が、この言葉が、1人の子どもを変えるかもしれない。そんな願いを胸に、大谷はいじめ撲滅運動を続けていく。【高場泉穂】

連載【その壁を超えてゆけ】~アスリートはいかに課題解決したのか

この記事はニッカンスポーツ・コムとYahoo!ニュースによる連携企画です。誰もがぶつかる壁、クリアしなければいけない壁、物事を隔てる壁など、世の中には多くの「壁」があります。アスリートやスポーツの世界に生きる人たちは、その壁をどうやって超えてきたのか。連載(随時掲載)を通じて考え、たくましく、強く、生きるヒントを探ります。

日刊スポーツ

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最終更新:4/20(土) 15:11
日刊スポーツ

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