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「愛する」ということ(4月21日)

4/21(日) 9:25配信

福島民報

 内閣府は、四十歳から六十四歳までのひきこもりが、全国で推定六十一万人以上にのぼるという、驚きのデータを発表した。ひきこもりの期間は七年以上との回答が約半数を占めており、長期化していることが分かる。高齢の父親か母親が生計を立てている割合が34・1%である。中高年を対象とする実態調査を国が行ったのは今回が初めてだ。十五歳から三十九歳のひきこもり調査結果が五十四万人以上という平成二十八年の報告もあり、合わせると百十万人以上の人々が孤立していることになる。

「多くの人は病んでいます。

 自分がまったく愛されていない

 関心をもってもらえない、いなくてもいい人間なのだと…。

 人間にとって

 いちばんひどい病気は

 だれからも必要とされていないと感じることです」(マザーテレサ)

 私たちは今、マザーテレサの指摘した「いちばんひどい病気」にかかりやすくなっているのかもしれない。

 私たちは、本当に孤独である。たった独りで生まれてきて、たった独りで死んでいく。インターネットの自殺サイトで一緒に死んでくれる人を募り、見ず知らずの人とビルの屋上から飛び降り自殺を図るのもこうした孤独さゆえだ。手をつなぎあってどんなに一緒に飛び降りても、地面にたたきつけられる瞬間は別々だし、亡くなる時も異なるだろう。

 私たちは、相手の気持ちが本当に分かるという瞬間は生涯ない。我[わ]が身から生まれた子どもであったとしても、この子の気持ちが分かったと思える瞬間はない。ただ、この子がこう思っていると、私が考えているにすぎない。

 私が進学した大学は、一年次はまだ専門に学ぶ学科を決めずに、様々[さまざま]な学問の概論を学びながら二年次になる時に専門学科を選択するという教育課程だった。心理学概論での教授の次の一言で、私は心理学科にしようと決めた。

 「心理学を学んだら人の気持ちが分かると思ったら大間違いだ。分からないから、様々な実験やテスト、分かろうとするカウンセリングの技法を学ぶ。分かり得ないことを前提としながら、分かり続けようとする学問が心理学だ」

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最終更新:4/21(日) 9:25
福島民報

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