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木村昴 ジャイアンがあったから関われた「ヒプノシスマイク」

4/21(日) 10:03配信

BuzzFeed Japan

声優 ・木村昴の誕生

ミュージカル俳優を目指す少年は14歳のとき、アニメ「ドラえもん」の2代目声優オーディションの開催を知る。

「受けたらクラスで目立てるかな」とノリでの記念受験。合格するなんて、考えてもいなかった。

「『多芸は無芸』なんて言い方もありますけど、そんなことないと思っていて。両親は一つの道を極めた人。それは素晴らしいけど、僕は何でもできたほうが楽しいと児童劇団で学んだ。オーディションに挑戦することで、ミュージカル俳優になるヒントがあるんじゃないかとも思っていました」

だが、自身の予想に反し、ジャイアン役を射止めてしまう。14歳と若いジャイアンの誕生は、当時マスコミでもたびたび取り上げられた。

「15年目に突入した今だから、もうそろそろいいかな」

木村はよしっという顔をして、ジャイアンに決まった瞬間の思いを語り始めた。

「聞いた瞬間、『すごい、俺が』と嬉しい反面、『ヤバァ 終 わった』と思った部分...もありました。先代が26年続けてきた『ドラえもん』という作品を自分が演じることが全く想像もつかなかった」

途中で降りられるような役ではない。一瞬、迷った。けれど、すぐに腹を決めた。

「ミュージカル俳優と二足のわらじでやる。そんななんちゃって声優では絶対無理だ。一生をかけてやっていくキャラクターだし、その心づもりじゃないとやる資格はないと思った」

ミュージカルへの夢は、一回白紙。いっぱしの声優として、2代目のジャイアンとして世間に認めてもらうため、自分の人生をすべて捧げる覚悟を決めた。

声優・木村昴の誕生だった。

「多分、これから周りが送っていくであろう、いわゆる青春とは無縁になるだろうけど、でも同級生が絶対に送れない青春を送れると思ったら嬉しくなってきましたね。それはそれで最高だなって」

兄貴 であり 師匠 。関智一の 存在

ジャイアンを演じ始めたとき、木村は14歳。のび太役の大原めぐみの29歳が次に若く、共演者とは大きく年が離れていた。

声優は初だった木村に対し、共演者たちは子供扱いはせず、けれど弟のように接した。

「今も家族、親戚みたいな関係。ドラえもん役の水田わさびさん、しずかちゃん役のかかずゆみさんからは『彼女ができたら、私がチェックするから、ちゃんと教えて』と言われたり。だから高校の頃に初めて彼女ができた時は、速攻でみんなに言いました(笑)」

共演者の中でも、スネ夫を演じる声優の関智一は兄貴分であり、そして声優の師匠だ。劇中のジャイアンとスネ夫とは立場が真逆。木村が迷った時、ベテラン声優はいつもアドバイスをくれた。

木村は高校卒業を控えた時期、関に「365日芝居のことを考えていきたい。一端の声優になりたいんですが、どうしたらいいんですか?」と相談した。

関の事務所の声優養成所や、関が主宰する劇団「ヘロヘロQカムパニー」に誘ってもらう。呼び水となる相談のつもりだったが、返ってきたのは意外な言葉だった。

「だったら自分の劇団を作れば」

面食らった。でも、師匠の言葉に間違いはないはず。卒業式の次の日には、劇団の旗揚げに向けて動き出した。

こうしてできたのが、木村が座長を務める「天才劇団バカバッカ」。名付け親は関で、現在も定期的に公演を行っている。

数年後、関にあの時の真意を聞くと「ノリだった」と笑って返された。

「なんだったらボケのつもりで、『無理ですよ~』『だよね~』くらいの感じになると思ったらしく『昴くんがまさかマジで劇団作るとは思わなかった』と言われて。俺なんか、神のお告げぐらいの感じに受け止めちゃったのに、適当かよって(笑)」

気まぐれな師匠ではあるが、関のことを話すとき、木村はとても嬉しそうだ。

2015年、木村が関の劇団に初めて客演として呼ばれたときだった。初日の開演5分前。楽屋で準備する木村に対して、関はぼそっとつぶやいた。

「いやあ、昴くん。いい俳優になったね。なんかね、一つの劇団を背負ってるって感じがしてきた」

本番直前なのに、泣きそうになった。

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最終更新:4/21(日) 19:09
BuzzFeed Japan

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