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木村昴 ジャイアンがあったから関われた「ヒプノシスマイク」

4/21(日) 10:03配信

BuzzFeed Japan

先代ジャイアンとの思い出

木村にはもう一人、師匠と言える存在がいる。初代ジャイアンを演じた声優たてかべ和也さん(故人)だ。

声優交代した直後、演じるヒントを求める木村に対し、たてかべさんからのアドバイスはたった一言だけ。

「ジャイアンってのはね、本当に豪快なやつだから。思い切りやってくれ」

ヒントの少なさに絶望もしたこともあったが、今は、あのアドバイスがすべてだと感じている。豪快に思い切り演じる凄み。それだけは守ってきた。

演技については語らないたてかべさんだが、木村を気にかけ、10代の頃はたびたび芝居に誘ってくれた。

住まいが木村の通った高校の近所だったこともあり、学食に行くと「定食を食べにきた」とたてかべさんの姿を見ることもあった。

「1年のときの文化祭を見に来ると言われて。周りの友達にも話していいですかと聞いたら『内緒にしてくれ。もうジャイアンは昴のものだから、俺は出しゃばった真似はしちゃいけない。俺はこそっと見て、こそっと帰るよ』と言われて。男前だなと思いました」

文化祭当日。木村の出し物が終わっても、たてかべさんの姿が見えない。帰ったのかと思っていると、多くの生徒が体育館に向かって走っていた。

体育館を見に行くと、その真ん中でリサイタルするたてかべさんがいた。

「『みんな、おーい、俺がジャイアンだぞ!』と言っていて。いやいや、ジャイアンは昴のものだって言ってたのに 。でも、みんなは大喜び。僕も『どうだ、初代ジャイアンはこんなに豪快な人で面白いだろう』って鼻が高かった。同級生からは『すごかったね。本物のジャイアン来てたね!』と言われて、それは複雑でした(笑)」

たてかべさんはジャイアンを交代する際、2代目の声優と一緒にお酒を飲みたいと語っていた。しかし、木村は当時14歳。酒をともにできないことが心に引っかかっていた。

20歳になったある日、たてかべさんに誘われ、木村は芝居を一緒に見た。当時たてかべさんは体調を壊し、医者に言われ酒を控えていた。

飲めないのは知っている。けれど6年間ずっと待ってくれた大先輩にせめてもと「20歳になりました、ようやく」と報告だけはした。

返ってきたのは「めでたい、ようやくか!」という祝福と「よし、今日はもう飲んじゃうぞ」という豪快な言葉だった。

居酒屋に入り、何を飲んでいいかわからない木村はビール、たてかべさんは日本酒を頼み、おちょことジョッキで乾杯した。

「『お待たせしました』しか言えなかったことを今でも覚えています。たてかべさんも『本当だよ!待たせすぎだよ』って言いながら『良かった』と笑って、一緒に飲んでくれました」

話したのはその日見た芝居のことや、酒の味について。特別な会話はしなかった。後にも先にもお酒を酌み交わしたのは1回きりだ。

2015年6月、たてかべさんは逝去。通夜では大好きだった日本酒での献杯も行われた。

「昴、お酒が飲めるようになるといろんな場所に行けるようになるから、これから楽しいぞ」

そんな言葉が今も記憶に残る。

「本当にジャイアンですよね。僕にとって声優人生の兄が関さんだとするならば、お父さんはたてかべさん。木村昴という人間をここまで成長させてくれたのは、この2人だと強く思います」

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最終更新:4/21(日) 19:09
BuzzFeed Japan

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