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ネットで夢を叶えた大学生のその後11年――「弾いてみた動画」で人気、ピアニストまらしぃに聞くネット時代の生き抜き方

4/21(日) 11:48配信

BuzzFeed Japan

クオリティが高ければ、心血注げば、必ず再生数が増えるわけではない

――ノリでピアノを再開した。

ニコニコには、ノリで面白いことをやろうとする独自の文化があるんですよね。僕の場合は音楽で、絵が描ける人、作曲する人、おしゃべりが上手な人。みんな各々の得意なものを集めて面白いものを作って、殿堂入りさせたりする。今日のニコニコ動画で一番再生されたとか、新しい流行が生まれたとか、みんなで純粋に喜んでいたような気はするんです。

――自分の得意なものを突き詰めて、コラボして。

そうですね。それに対して見返りも求めない。無法地帯の熱量があった。身内感というか、部室に近かった。

――殿堂入りすると嬉しい一方、常に再生回数が出ること。目の前に結果を出されるとキリキリしませんか?

自分の中のハードルがあがりますからね。プレッシャーに感じてしまう人もいる。でも、僕はドライに捉えています。

――ドライ?

再生数っていろんな事情に左右されるので。クオリティが高いから見てもらえたのかもしれないし、流行りの形だったから見てもらえたかもしれない。

――自信作の再生数が伸びなかったり?

ありますね。思ってたほど伸びなくて、残念な気持ちになることもある。そういうときは、頑張りどころを間違えたと思うようにしてます。

逆に軽い気持ちでサクッと投稿してみたものが高評価だったり。一方で、うまく動画が撮れなくて、失敗したって思ったら、逆にひらめきが生まれることもあるんですよ。


――失敗作が?

演奏中にお風呂が沸いた音が鳴りまして(笑)。少しイラッとしていたんですけど、せっかくだからその音アレンジをしてみたらそれが話題になって、結果的にCMに楽曲を使ってもらえることになったり。

「次はこれを弾いて」とリクエストが来て、自分が好きなことをやって、またコメントが来て、時にはコラボしたり……それが楽しくて10年続いています。

――ピアノを一度やめてしまったのに、ネットだとピアノが続く。何が違うのでしょうか?

中学生の時は専門の先生に見てもらったり、コンクールに出させてもらっていたんですけど……基本的に一人で練習してたまに先生に聴いてもらっても怒られる。

コンクールに出場したり、9歳のときからピアノでライブ活動をしていたまらしぃさん。ピアノ漬けの幼少期ではあった。

「お前にショパンの何がわかるんだ!」とか「音楽の基礎がわかってない」と怒鳴られたりしたので、反抗期と重なって高校受験を言い訳にやめちゃったんですけどね。

でも、ネット……特にニコ動だとコメントがついたり、再生数が上がったり。自分が弾いたものへの反応が目に見えてわかるのは、一人で盤に向かっていたときには味わえない経験だった。それこそ、みんなでコラボしたり。

――例えば、同業の方には劣等感を感じることはありますか? ネットは一見、自分と同じことをやっている人たちが良くも悪くも見つかってしまうので。

いつも……そればっかりです。やっぱり皆さんすごく素晴らしい技術を持っている方が本当にたくさんいるので。弾き方を分析して真似して……やっぱり凹みますよ。上手な人を見ると。

――H ZETT Mさんとか……?

ZETTさんには2011年ぐらいに初めてお会いしたんですけれど、すごいですよあの人。超えられない。

彼から何か……学んで持って帰ろうと、一生懸命かぶりついていたんですけれど、結局の真似をしても、意味がないような気がして。

――二番煎じみたいな?

そうですね。だから、上手い人のかっこいい部分を拝借して自分のものにするという。劣等感もあるんですけれど、一部を学ばせてもらおうと切り替えられるようになりました。上手い下手にこだわりすぎず、ちまちま動画をあげていると、思わぬことが起きたりしますし。

――トヨタのCMに楽曲が使われたり。

そうですね。地元感覚もあり、すごく嬉しかったです。担当の方が僕の動画を見てくださっていたようで……。

――今も愛知に住まれているんですか?

はい。大学受験の頃に東京の大学も受けてみようかなと思ったんですけれど、結局地元に進学しました。今はそれで良かったと思っています。

――なぜ?

東京に出ていったらピアノ弾いてなかったと思います。スタジオに行かないといけなかったり、防音対策とか……。騒音を気にせず、自由に大きな音で弾ける環境の方が手離せないというか。

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最終更新:4/22(月) 12:55
BuzzFeed Japan

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