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【F1メカ解説】メルセデスは、どのようにしてフロントウイングを”合法化”したか?

4/22(月) 12:45配信

motorsport.com 日本版

 メルセデスは、中国GPに新仕様のフロントウイングを持ち込んだ。この新仕様は、特に翼端板に関する変更が施されており、翼端板の長さが短く、そして後端が外側に曲げられ、さらにその上部に緩やかな切り欠きが設けられている。これによってチームは、フロントタイヤの前面を横切り、マシンの外側に向けて流れる気流を生み出そうとしている。

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 各チームは昨シーズンまで、この外向きの気流を、カスケードウイングやウイングレット、フィンなどを使って生み出してきた。しかしFIAは今季からこれを禁止……そんな状況下でもなんとか外向きの気流を生み出そうと、各チームは奮闘している。

アルファロメオC38のフロントウイングデザイン

 今季からの新レギュレーションに対応するために、ふたつの考え方が生まれた。ひとつは従来のようにフロントウイングの外側フラップの上部と、翼端板の上部の高さが揃えられたメルセデスやレッドブルの処理。そしてもうひとつは、アルファロメオやフェラーリのように、フラップ外側を著しく低める形だ。

 アルファロメオが採用した処理は、これまでの常識を大きく覆すモノで、視覚的にも非常に攻撃的だった。これは、今季のレギュレーション変更に応じて発生する問題に対処するため、率直に対応している。つまり、フロントウイングの上部で発生する渦流(=ボーテックス)を、気流を外に向けることに使っていないと考えられる。

 昨年までのF1マシンは、フロントウイングに取り付けられた様々なデバイスで気流の渦を作り、周辺を流れる空気をマシンの外側に向け”誘導”していた。しかしアルファロメオの考えは、フロントウイング外側を低くすることで圧力差を生み出し、この効果で外向きの気流を作っていると考えられる。しかしその一方で、ウイングで発生するダウンフォースを犠牲にしているはずだ。

メルセデスW10のフロントウイングの変化

 メルセデスは当初、フラップの上部は高く、そして翼端板の後端が内側に曲げられたフロントウイングを使用していた。メルセデスはこのデザインで、翼端板を沿うように流れた気流を、ボーテックスとぶつけるように使い、その回転と向きを変更しようとしていたと考えられる。

 メルセデスは2回目のテストに、早速アップデートパッケージを持ち込んだ。このBスペック仕様にはフロントウイングのアップデートも含まれており、その翼端板はからは内側への傾斜は排除された、典型的なモノに変更されていた(画像円内)。これに加えて、翼端板の後端上部の角が切り欠かれており、ボーテックスの形成方法は形状、そして方向が間違いなく変更されていたはずだ。

 中国GPに持ち込まれたフロントウイング翼端板(画像左側)は切り欠きの形状が大きく変更され、外側に向かって曲げられている。ただこれによってフラップの上部後端が露出する形となってしまった(赤い矢印の部分)。これが、テクニカルレギュレーションの3条3.6に違反することとなった。

 FIAのニコラス・トンバジスは、フリー走行開始前に、メルセデスの新型フロントウイングを検査。FIAのスタンスを説明した。そして、チームがレギュレーションの解釈に従うために必要な調整を行えるようにした。

 メルセデスはFIAの裁定に従うべく、フラップ最上部の外側の一部を切り取った。これにより、フラップ全体が翼端板に覆い隠されるようになった。ただその一方で、変更による空力的な影響も少なくなったはずだ。

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最終更新:4/22(月) 12:45
motorsport.com 日本版

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