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第二のノートルダムの恐れ、老朽化した議事堂に大火災の危険 英

4/22(月) 8:55配信

The Guardian

【記者:Jessica Elgot】
英国の議会議事堂として利用されているウェストミンスター宮殿について英議員らは、老朽化した建物を早急に修繕しなければ、フランスのノートルダム大聖堂のような破滅的な火災が発生する深刻な危険があると訴えている。

 労働党のジェレミー・コービン党首は、15日に発生したノートルダム大聖堂の火災はウェストミンスター宮殿の修復を急ぐべきだという警鐘だと指摘する。コービン氏は「建物の状態は劣悪で、木材が非常に多く使われているので明らかに火災の危険性が高い」と語った。

 英議会は昨年、議会を移転し、2020年代半ばから数億ポンドをかけ、ネオゴシック様式のウェストミンスター宮殿の大規模な修繕・修復作業を行うこと決定した。

 ウェストミンスター宮殿では、2008年から2012年の間だけでも40件の火災が発生しているが、常に消防チームが巡回しており小規模火災は素早く消し止められている。

 ガーディアン紙は2016年、ウェストミンスター宮殿の屋根の人目につきにくい部分にあった照明器具の漏電で火災が発生し、すぐに気づかなければ瞬く間に火が広がっていたかもしれないと報じていた。

 議事堂の電気系統は老朽化が進み、電気配線や廊下が入り組んでいる上、防火区画で適切に区切られていないので、火の手が上がれば素早く、予想できないほど広がる可能性があると専門家は指摘する。

 アンドレア・レッドソム下院院内内務はノートルダム大聖堂の火災について「歴史的建造物を守る重要性を改めて認識させられた」とし、ウェストミンスター宮殿での火災の危険性は常に検討されていると述べた。

 また、ウェストミンスター宮殿修復事業の財政委員会委員長を務める労働党のクリス・ブライアント議員は「パリで起こった出来事を見るにつけ、ウェストミンスター宮殿、とりわけ11世紀に建造されたウェストミンスターホールの保存にわれわれの世代が責任を有していることを痛感している」と話した。

 さらに、テリーザ・メイ政権の事実上ナンバー2であるデービッド・リディントン内閣府担当相はノートルダム大聖堂の火災の直前に地元紙「バックスフリープレス」のコラムで、議事堂がここ数年、大火災や事故に見舞われていないのは幸運だと主張していた。

 リディントン氏は「昨年は何度か、れんがが何か所も崩れ落ちた。大けがをした人がいなかったのは本当に運がよかった」と指摘した。下院で水漏れがあり議員たちが避難しなければならないこともあったという。

「さらに悪い事に、電気系統や配管、暖房、下水道もすべて随分前に寿命を迎えていてボロボロだ。年数を重ねるごとに甚大な火災が発生する危険性が増している」

 ウェストミンスター宮殿は1834年に発生した火災で大部分が焼失し、建築家のチャールズ・バリーによって再建された。その際もウェストミンスターホールは焼失を免れており、すでに築900年以上が経過している。

 リディングトン氏は、ウェストミンスター宮殿を博物館に転用したり、議会が近代的な建物に移転したりしたとしても、修復作業自体は避けられないと主張する。「議会を恒久的に別の建物に移転したとしても、私たちにはウェストミンスター宮殿を修繕・修復する義務がある」【翻訳編集】AFPBB News

「ガーディアン」とは:
1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

最終更新:4/22(月) 8:55
The Guardian

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