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韓国財閥に減益の嵐、サムスン、SK、LGと軒並み

4/22(月) 15:30配信

ニュースソクラ

雇用も悪化で文政権批判強まる

 上場企業の今年の1四半期(2019年1月~3月)業績発表を控えた4月、韓国証券界は、韓国経済を支えている大企業の「アーニングショック」の嵐で大きく揺れている。「アーニングショック(Earnings Shock)」とは、上場企業が予想をはるかに下回る業績で、株価に衝撃を与える状態をいう。

 5日、『サムスン電子』は、2019年1四半期の暫定業績を発表した。営業利益は昨年同期比60.4%も急減した6兆2千億ウォン(約6千億円)、売上げも昨年同期比14.1%減った52兆ウォンのまさに「アーニングショック」だった。

 サムスン側は株式市場への衝撃を考慮して、去る3月26日に異例の「アーニングショック」予告を行った。「当初の予想よりもディスプレーやメモリー事業環境が悪化し、今年1四半期の実績が市場の期待水準を下回ると見込まれる」と明らかにしたのだ。それが効いたのか、発表当日の韓国株式市場の衝撃はそれほど大きくなかった。

 しかし、昨年の4四半期の業績も前年同期比で売り上げはマイナス10.6%、営業利益はマイナス28.7%と、「アーニングショック」を記録しただけに、2四半期連続で厳しい決算となった『サムスン電子』の今後に対する韓国経済界の憂慮は極めて大きい。

 韓国財界順位3位の『SKグループ』も、業績悪化が見込まれる。営業利益でサムスン電子に続き、韓国2位の『SKハイニックス』(SKグループの半導体事業部分)は、今年1四半期に売上高と営業利益の予測値がそれぞれ、前年同期比マイナス25%(6兆5千億ウォン)と、マイナス60%(1兆7000億ウォン)へ急落すると見込まれている。

 なお、エネルギー事業部門の『SKイノベーション』の第1四半期の業績も営業利益が40%ぐらい減少するものと予想される。ただ、インターネット/電話事業部門の『SKテレコム』は、昨年の第4四半期のアーニングショック(営業利益マイナス27%、売上高マイナス3.2%)以降は、5G時代幕開けに対する期待感で回復が予想される。

 財界順位4位の『LGグループ』も厳しい暫定業績を発表した。コスピ(KOSPI=韓国総合株価指数)で時価総額3位の『LG化学』の前年同期比の営業利益はマイナス53%だ。2017年までLCDパネル市場の世界シェア1位を誇っていた『LGディスプレー』は、昨年、格下げとなっている。今年は営業利益が1千億ウォン台の赤字に転ずるものと見られる。『LG電子』も前年同期比マイナス26%の営業利益が予想される。

 『現代(ヒョンデ)自動車』(財界順位2位)だけは、前年同期比20%増の8000億ウォン台の営業利益を上げるものと予想された。しかし、この増益は昨年が史上最悪の業績だったからだ。『現代自動車』は昨年、営業利益が47%も激減し、韓国市場内の営業利益は1974年の上場以来初の赤字を記録するなど、最悪の業績だった。

 経済専門紙である『韓国経済新聞』は3月13日付の記事で、「金融情報会社のエフアンドガイドが売上高上位20位までの上場企業の今年第1四半期の営業利益のコンセンサス(展望値平均)を調査した結果、10社の業績が昨年第1四半期より悪化するものと予想された」「一昨年の2017年第1四半期と比べると全体の80%の16社の営業利益が減少すると予想される」と伝えた。

 韓国経済をけん引してきた大企業の業績低調が本格化したことで、韓国社会では経済低迷に対する危機感が一層高まっている。

 2017年5月に誕生した文在寅(ムン・ジェイン)政権は「所得主導成長論」(賃金を上げて家計所得を増やすと、購買力が高まって企業の生産も高まり、結局は経済が成長するという論理)を経済基調として、2020年まで一万ウォンの最低時給を目標に毎年二桁の引き上げ(最近、2年間で約30%も引き上げられた)を推進したほか、労働時間短縮や非正規職廃止などの労働者に配慮した政策を展開してきた。

 しかし、 急激な賃金の引き上げは、韓国全就業者の25%を超える自営業者の連鎖倒産という最悪の結果を招いた。中小企業もまた、生産性の悪化による廃業や設備の縮小が相次いだ。大手企業も米中間の貿易戦争などの国際環境の悪化に置かれながら、国内的には賃上げや生産性の下落、それに文在寅政権の脱原発政策による電気料金の引き上げなどによってコスト増に苦しめられ、業績悪化の泥沼にはまってしまった。

 すなわち、最低賃金の急激な上昇が「企業業績の悪化→投資萎縮→雇用減少」とつながり、韓国経済が悪循環の罠に陥ってしまったのだ。結果、全世界が好況を謳歌した2018年に韓国経済は、世界で例を見ないほど低迷してしまった。

 韓国統計庁が発表した「2018年12月及び年間産業活動動向」よると、2018年の韓国の産業生産は前年比1%増で関連指数作成が始まって以来の最低水準記録した。企業の設備投資は前年比マイナス4.2%で、リーマン・ショック直後の2009年以来の最大下落を記録した。製造業生産能力はマイナス1.1%で、史上初めて減少を記録した。

 景気動向指数や先行指数は、2018年6月から今年2月現在まで9ヵ月連続で下落し、70年代のオイルショック以降の最長期下落を記録している。

 景気低迷は必然的に雇用低迷につながっている。就任当時から「雇用大統領」を自称した文在寅大統領は、政権2年間で54兆ウォンの財政を投入しながら、歴代政権で最悪の雇用状況を作り出してしまった。2018年の就職者増加数は9万7000人で9年ぶりの最低水準、失業者は107万3000人で18年ぶりの最大、失業率は3.8%で17年ぶりに最高だった。

 今年は世界経済も米国の長期・短期金利が逆転したことで、「R(景気低迷)の恐怖」が予想される中、韓国経済の低迷はさらに加速するものと思われる。半導体をはじめとする電子や自動車、石油化学、鉄鋼、造船など韓国の主力産業が一斉に悪化するなかで、7年3ヵ月間、黒字を維持してきた経常収支も4月には赤字に転ずる見通しだ。

 韓国社会では1997年のIMF(国際通貨基金)経済危機の再来を警告する声も聞こえ始めている。経済をそっちのけに、北朝鮮問題にだけ前のめりの文政権に対し有権者、中でも20-30代の若者たちの怒りが日々高まっている。

朴英南 (ジャーナリスト 在ソウル)

最終更新:4/22(月) 15:30
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