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絶滅危惧種イヌワシ 全国で守れ みなかみの“赤谷モデル”各地へ 多様な生物すみやすい環境へ

4/22(月) 6:01配信

上毛新聞

 絶滅が危惧されるイヌワシについて、群馬県みなかみ町の赤谷の森で保全に取り組む日本自然保護協会(東京都)は、みなかみで成果を上げた手法を生かし、日本全国のイヌワシ保護に乗り出す。第1弾として、東日本大震災以降、生息が確認されていない宮城県南三陸町を選んだ。すみやすい環境整備を進め、絶滅回避のための計画を作成する。

◎第1弾は被災地 宮城・南三陸町で

 協会は2004年、関東森林管理局やみなかみ町の住民らと連携し、赤谷の森の環境整備に取り組む組織「赤谷プロジェクト」を発足させた。多様な生物がすみやすい環境づくりを目指す活動の一環として、イヌワシの生態調査を続けてきた。

 調査を踏まえ、イヌワシがすみやすい森林づくりの実証実験を14年9月に始めた。スギの人工林を計3ヘクタール伐採、視界を良くしてイヌワシが狩りをするのに適した環境を創出したところ、獲物を探しに急降下する行動が増え、繁殖活動が2年連続で確認された。こうした実績を踏まえ、手法を全国に広めたい考えだ。

 宮城県南三陸町は古くからイヌワシの生息地として知られ、60年以上の間、住民による生態調査が行われてきた。だが、11年の東日本大震災で調査が中断され、その後、生息が確認されていないという。

 同町内の森林は国、町、民間がそれぞれ管理しているが、協会の主導で昨年12月にイヌワシの生息環境再生を目指す森林計画の策定に合意した。今後は3者が連携し、狩り場創出などの環境整備を進め、定住を目指す。

 赤谷プロジェクトを担当する、協会の出島誠一さん(44)は「イヌワシの生態は分からない部分が多い。みなかみでの調査を継続しながら、築いた手法を全国に広めたい」と意欲を見せる。本年度中には、関係者や専門家らを集めて検討会を組織し、絶滅回避の計画を策定する。

 みなかみ町の住民有志でつくる「赤谷プロジェクト地域協議会」の林泉会長(56)は「みなかみでの取り組みや環境保全の精神が全国に発信されるのはうれしい」と期待を寄せる。

 協会はイヌワシ保護の全国展開に伴い、寄付金を募っている。寄付者には記念品が贈られる。寄付は協会ホームページから申し込む。問い合わせは協会(03-3553-4101)へ。

《イヌワシ》

 国内に約500羽しかいないとされるタカ目タカ科の鳥類。全長は80~90センチほどで、翼を広げると2メートル以上になる。日本海側を中心に全国に分布。野ウサギやヤマドリなどを捕食する。大規模な森林開発に起因する狩り場の不足、餌となる野生動物の減少で、生息に適した環境が縮小しており、絶滅が危惧されている。

最終更新:4/22(月) 6:01
上毛新聞

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