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例えば「水をよく飲もう」医師が勧める、病気で死なないためのキホンのキ

4/22(月) 11:27配信

ニュースイッチ

 病気で死ぬ理由、なくなりつつあります。

 21世紀になってからの約20年、特にここ数年は、いろんな医療技術が花開いてきており、まさに「医療の完成は9合目」とでも言うべき状況に至っています。

 本庶佑博士のノーベル賞で一躍有名になったがんの免疫治療薬「オプジーボ」(チェックポイント阻害剤)や、20世紀には不治の病のイメージだったエイズ、あるいは、筋ジストロフィーなどの遺伝的疾患に画期的な新薬が続々と開発され、急速に進歩している創薬分野。iPS細胞技術などによって実現しつつある臓器の再生、ロボット手術やAI医師の台頭。例を挙げるとキリがないほど、最先端の医療は進んでいます。

 治療薬開発が難しい希少疾患や難病、突然起こってしまう大動脈解離などによる急死といった「病気のラスボスたち」を突破しさえすれば、人間は実質的に「不死」を手に入れることになります。つまり、かつて非常によくあった、「病気によって志半ばで死を迎えてしまう」ことがなくなっていくのです。今後は、理論上の寿命の限界として想定される120歳くらいまで生きることも可能になるのです。

 ただ、そのような時代に居合わせられた我々自身が、健康の維持に対する意識改革をすることなく、心身の状態を良好に保つ努力を怠ったら? いたずらに人生の持ち時間だけが長期化し、短からざる時間を「リビングデッド」として残された時間を無為に送らざるを得ないことになってしまう危険さえあるのです。なお、私のリビングデッドの定義は「本来なら生き生きと活躍できるはずの人が、人生で自己実現を果たせなくなった状態で延々と生き続けること」です。そうならないためには、若い時代から、「医療完成時代の生き方はこれまでとは違う」ということを知っておいてもらいたいのです。

 ところで、「心身の状態を良好に保つ努力」と言いましたが、方法は意外なほどに単純です。いくつか紹介しましょう。

 例えば、もともと“耐用年数”が50年くらいしか持たないように設計されている臓器の酷使を避け、「節約」しましょう。心臓が働きすぎるような激しい運動や寝不足で働くなどを避け、普段から水をよく飲み腎臓が濃い血液を濾過する時の負担をかけないようにし、関節に負担をかけないように過度な運動ではなくウォーキングなどの軽い運動を継続する、などです。

 また、皆さんよくご存じの歯周病によって口の中の微小な血管を介して悪い成分が身体に入り込んだり、局所の炎症が続いたりしたら、健康を維持する力を下がり、生活習慣病になりやすい環境ができてしまいます。このような状況を避け、生活習慣病への移行を食い止める「歯磨きのススメ」もしておきます。

 不慮の死、急死を司る死に神につかまらないための「孤立しない生活」を実現するために、普段から人との関わりを大切にし、仲間を増やすことも重要です。

 最後に、医師として「不死時代の生き方」をずっと考えてきた立場で、医師と医師以外の方との間では、病気というものへの捉え方の違いがあることをお話ししておきたいと思います。それは、病気というものが「治る」「治らない」の2つのどっちかにきっちり分類できるものではないということです。それらの間にはさまざまな「中間」の状態が存在するのです。不死時代には、ご自分の病気が治るのか治らないのか、決着をつける必要はありません。むしろ、いろいろな病気や心身の不調と折り合いをつけて快適に生きていけることが、医療完成時代の恩恵なのですから。

 「無病息災」から「多病息災」へ。病気の数を減らそうと意気込みすぎることなく、病気であることを受け入れて生きていく。病気というものに対する考え方を一歩進めてみてほしいと思います。そうすることで、心身の健康は発達した医療に任せ、病気や健康、そして死を意識に置くのをやめるのです。その分の時間や労力を使って、もっと崇高かつ大切なもの--例えば、人生における目標--の達成に全力投球してほしいと願います。

奥真也(医師、「Die革命」著者)

最終更新:4/22(月) 11:27
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