ここから本文です

ウェアラブル技術の業務利用が引き起こすデータ保護法との摩擦

4/23(火) 7:00配信

TechTargetジャパン

 雇用主がPCの電源を入れる。従業員がオフィスビルに入館してから退出するまでの正確な時刻を確認する。勤務中の従業員の心拍数と歩数を表示する。従業員が社員食堂で購入するランチを細かく把握する。従業員が職務中に犯した失敗や失敗寸前に陥った件数を追跡する。そんな職場を想像してほしい。これはゲーム「The Sims」の拡張パックやテレビ番組「Black Mirror」のエピソードのように思えるかもしれない。だが、こうした技術は実在する。

 職場でウェアラブル技術が利用されるのは今に始まったことではない。昔からのオフィスの必需品に入館許可証がある。だが、ウェアラブル技術は高度化と複雑化が急速に進んでいる。

 このような時代の流れに乗っている雇用主の例にAmazon.comがある。同社はリストバンドについて米国で2つの特許を取得した。このリストバンドは、倉庫での労働者の仕事ぶりを追跡する。労働者が間違った在庫箱に近づいたりその中に商品を収納したりすると、リストバンドは小さな「ブザー音」を鳴らす。

マイクロチップの埋め込み

 さらに物議を醸したのは、米国を拠点とするテクノロジー企業Three Square Marketの計画だ。同社は、同意を得た50人のスタッフに入館許可と購買の機能を備えたマイクロチップを埋め込むことを計画した。人間にマイクロチップを埋め込むことを目指すスウェーデンの企業Biohax Internationalも、マイクロチップ装着について英国を拠点とする多数の雇用主と会談したことを発表して世間の注目を浴び、労働組合との紛争を巻き起こした。

 ただし、ウェアラブル技術は行き過ぎたものばかりではない。多くの従業員はフィットネスバンドやスマートウォッチからメリットを得ている。ウェアラブル技術が従業員の安全確保に役立つこともある。オックスフォードシャー州地方議会は、廃棄物リサイクルチームにボディーカメラを装着して一般市民からの暴行や暴言を防ぐことを発表した。

 どのような技術であれ、職場での装備品導入には常に賛否両論がある。コスト、プライバシーに関する当然の懸念、差別のリスク、社員の士気などについての潜在的な問題に対してバランスの取れた福利、安全性、生産性が重要になる。

 ただし、取得する可能性のある個人データの幅広さ、データの過剰収集や非合法な目的への使用などのリスクを考えると、ウェアラブル技術を職場で利用する際に立ちはだかる最大の難敵はデータ保護法になる可能性が高い。

 では、ウェアラブル技術を職場に導入するに当たって、雇用主はどのようなことを考える必要があるだろうか。

1/3ページ

最終更新:4/23(火) 7:00
TechTargetジャパン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事