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F1の歴史上、印象的なマシン:天才デザイナーのアプローチと強大なパワー……ブラバムBT52

4/23(火) 12:23配信

motorsport.com 日本版

 ブラバムBT52は、従来のコンセプトを引き継いだモノではなく、登場する必要があったマシンだと言えるだろう。

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 ブラバムチームは、1983年シーズンに向けてグラウンド・エフェクトカーであるBT51を準備していた。しかしFIAは、シーズン開幕直前の82年11月に、83年シーズンからグラウンド・エフェクトカーの使用を禁止する決定を下す。そのためチームは、土壇場でマシンを再設計しなければならなかった。

 当然ながら、本質的にはグラウンド・エフェクトカーとしてデザインされたマシンに、ごく短期間で修正を加えるのは、チームにとっては大きなハードルであった。

 グラウンド・エフェクトカーとは、サイドポッドの下面をウイング形状にし、マシンのフロア全体でダウンフォースを発生させようとする仕組み。簡単に言えば、フロア全体がディフューザーになっているようなものだ。マシンの側面にはパネルが設けられていて、サイドポッド下を流れる気流がマシンの側面に逃げてしまったり、逆に流入してくること防いでいた。

”モジュール構造”を採用

 当時ブラバムのチーフデザイナーを務めていたゴードン・マーレイは、新しいレギュレーション下のマシンは、長いサイドポンツーンを持つと悲惨なことになることをすぐに理解したようだ。そのため彼は、矢のような形状のシルエットを選択。ライバルチームとは全く異なるアプローチを選んだ。

 BT52のリヤには、ラジエターとインタークーラーが備えられていた。これにより、ターボチャージャー付きのBMWエンジンを冷却しようとしたのだ。これは、重量バランスを大きく後方にシフトしたためだ。そして強大なエンジンパワーを活かし、大きなトラクションを得ようとした。

 マーレイはこのBT52の開発以前に、”モジュール構造”の概念を採り入れようとしていた。これは、マシンの後部全体を、マシンから切り離して組み立てることができるという考え方である。当時ブラバムが使っていたBMWエンジンは、強力だがライフが極端に短く、各セッションごとに載せ替えるという状態だった。そのためマーレイは、エンジン、インタークーラー、ラジエター、ギヤボックス、サスペンションなどをひとつのユニットとしてまとめ、そのユニットを複数用意して、簡単に交換できるようにしたのだった。

 このコンセプトは、F1のデザインにとって画期的な出来事であり、すぐにライバルチームによってコピーされることになった。これは現在のF1でも基礎となっている部分であり、メカニックがマシンのそれぞれの部分でより効率的に働くことを可能としたのだ。

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最終更新:4/23(火) 12:23
motorsport.com 日本版

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